ALBA Net  ゴルフ
ALBA Net  ゴルフ

注目!
ツアー情報

43歳にして満開「グローバーの花」【舩越園子コラム】

ルーカス・グローバーが2週連続優勝達成。43歳の快進撃は止まらない。

所属 ライター
舩越 園子 / Sonoko Funakoshi

配信日時:2023年8月14日 12時00分

PGAツアーのプレーオフ・シリーズ第1戦「フェデックス・セントジュード選手権」の最終日。松山英樹が終盤に猛チャージを見せ、TPCサウスウィンドの大観衆を大いに沸かせた。

号泣…! パパに駆け寄るまな娘【写真】

フェデックスカップ・ランキング57位で今大会を迎えた松山。翌週のプレーオフ第2戦「BMW選手権」へ進むためには、ランキングでトップ50入りすることが求められていた。

3日目終了時点では危うい状況だったが、最終日は15番からの3ホールでバーディ、イーグル、バーディの快進撃。この日、スコアを6つ伸ばした松山は、トータル9アンダー・16位タイで4日間を終え、フェデックスカップ・ランキングは47位へ上昇。プレーオフ第2戦への進出が決まり、同時に来季のシグネチャー・イベント(現「格上げ大会」)8試合への出場資格も獲得した。

第2戦でさらに上位入りしてランキングトップ30に食い込めば、最終戦の「ツアー選手権」に10年連続で進むことができる。

第2戦へ進出できるかどうかの瀬戸際から蘇った松山の執念は、実に見事だった。だが、それ以上に圧巻のプレーぶりを披露したのは、優勝したルーカス・グローバー(米国)だった。

前週にレギュラーシーズン最終戦の「ウィンダム選手権」を制し、2年ぶりの復活優勝を果たして通算5勝目を挙げたばかりのグローバーは、今週も好調を持続。

2日目に単独首位に立つと、3日目も首位を保ち、最終日はパトリック・キャントレー(米国)に並ばれてサドンデス・プレーオフへ突入したが、1ホール目をパーで収めたグローバーが勝利し、通算6勝目を2週連続優勝で飾った。

「僕は、すっかり年寄りだ」というグローバーは現在43歳。40歳以上の選手による2週連続優勝は2008年のビジェイ・シン(フィジー)以来の快挙となり、40歳以上の選手によるプレーオフ・シリーズの優勝は2018年のタイガー・ウッズ(米国)以来というビッグな成功となった。

何よりすごいのは、グローバーのフェデックスカップ・ランキングの動きだ。ウインダム選手権開幕前は112位だった彼のランキングは、同大会優勝後に49位へ急上昇し、今大会優勝によって4位へジャンプアップ。これで最終戦のツアー選手権進出も確定した。

グローバーは2009年「全米オープン」を制したメジャー・チャンピオンだが、愛妻がDVで逮捕されたり、自身は長年イップスに苦しんだりと、山あり谷ありの人生を歩んできた。

そんな彼を暗闇から救い出したのは、長年のマネージャー、マック・バーンハート氏だ。グローバーのイップスを直したい一心で、バーンハート氏は全米のあらゆるスポーツ界を奔走。メジャーリーグ(野球)の元ピッチャー、ジェイソン・クーンがアトランタ・ブレーブスのピッチャーのイップスを直したという話を聞きつけ、今年5月にグローバーにクーンを紹介した。

クーンの指導を受けたグローバーは、レギュラーパターをロングパターに持ち替え、グリップの仕方もスプリットハンドに変更。そのおかげでイップスを克服できたばかりでなく、「グリップの仕方を変えたことが、僕のゴルフ脳をいい感じに刺激してくれた」。

それが転機となってグローバーのゴルフは好調へ転じたのだが、幾多の苦難を乗り越えてきた彼は決して浮き足立つことなく、「こうしてPGAツアーで戦えていることに、ただただ感謝している。常にもっと練習しようと思いながらやっている」。

ウインダム選手権で優勝した直後でさえ、グローバーは「もっと練習する。もっと頑張る」と言った。そして今週も「ひたすら戦い続けるんだ、戦い続けるんだと自分に言い聞かせていた」と明かした。

最終日、14番で池に落とした一打は痛恨だったが、長いパットを沈めたボギーセーブは見事だった。16番(パー5)は熟考を重ねた上でピンにきっちり寄せた第3打はベテランのワザだった。フックをかけてスタイミーな木々をかわし、花道へ運んだ17番の第2打とアップ&ダウンのバーセーブには執念が感じられた。

72ホール目のバーディパットは残念ながらカップに届かなかったが、サドンデス・プレーオフ1ホール目の18番でフェアウェイとグリーンを堂々と捉え、危なげなくパーで収めたグローバーの落ち着いた戦いぶりには、“パティ・アイス”と称されるキャントレーの冷静さを打ち壊すほどの静かな威力が感じられた。

グローバーがこれほど強い選手であることに、これまで誰も気が付かなかったのか。それとも、グローバーが今まで以上に強い選手へ進化しているのか。

43歳にして「グローバーの花」は、今こそが満開となりつつある。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

関連記事

フェデックス・セントジュード招待のニュース

PGAツアー 週間アクセスランキング


大会情報

  1. JGTO
    開催中
    2025年4月24日 4月27日
    前澤杯 MAEZAWA CUP
  2. JLPGA
    中止
  3. PGA
    開催前
  4. LPGA
    開催前
    2025年4月24日 4月27日
    シェブロン選手権
  5. ACNツアー
    開催中
    2025年4月23日 4月25日
    i Golf Shaper Challenge in 筑紫ヶ丘
  6. ステップ・アップ
    開催中
    2025年4月24日 4月26日
    大王海運レディス
  7. DPワールド
    速報中
    2025年4月24日 4月27日
    海南クラシック
  8. LIV GOLF
    開催前
    2025年4月25日 4月27日
    LIVゴルフ第6戦 at メキシコシティ
  9. ネクストヒロイン
    終了
    2025年4月23日 4月24日
    Sanrio Smile Golf Tournament
  10. アマチュア・他
    開催前
    2025年4月25日 4月27日
    IOA選手権

おすすめコンテンツ

関連サイト