<ソニー・オープン・イン・ハワイ 3日目◇12日◇ワイアラエCC(米ハワイ州)◇7044ヤード・パー70>
「僕には17人からディナーをおごってもらう権利がある」。3日目の朝に笑顔で話したのは、ツアー1勝のジョエル・ダーメン(米国)。一体なぜか。36歳は2日目の最終ホールでミスパットをしたことにより、17人を“救って”いたからだ。
ダーメンは2日目にカットライン上のトータル2アンダー・65位タイにつけていた。夕闇が迫る中、最終9番にたどり着いたとき、2アンダーグループでプレーしていたのはダーメンただ一人。もしここでバーディを取れば2アンダーは66位タイとなり、ダーメン以外の17人がカットライン外に押し出させることになる。
17人の運命を握るバーディパットは、約1.5メートルのチャンスにつけた。だが、ダーメンの放ったボールは右に押し出され、カップの右をかすめた。「ミスリード。読み違えたんだ。信じられなかったよ」と苦笑い。このパーフィニッシュによりカットラインは変わらず、2アンダーまでの82人が予選を通過することになった。
“命拾い”した17人の中には、松山英樹も含まれる。前日は「パー5上がりなんで(予選通過は)無理でしょうね。ないと思います」と半ば諦めムードだったが、結局は週末への切符を手にした。ムービングデーで「67」をマークし、50位タイまで順位を上げた。
そのほかにも、昨季の米ツアー新人王に輝いたエリック・コール(米国)、ブランドン・ウー(米国)、カナダのアダム・スベンソンが「64」を叩き出し、22位タイまでジャンプアップ。転がり込んできたチャンスをしっかりとモノにした。
同じく2アンダーで予選を通ったマイケル・キム(米国)は自身のX(旧Twitter)で「ジョエル・ダーメン、ありがとう。最終ホールのパーで-2をキープしてくれた。今度会ったらビールを飲まなきゃね。君の悪口は全部取り消すよ」と投稿し、“感謝の意”を表した。
ちなみに、当のダーメンは「68」をマークしたものの、55位タイと思ったよりも順位は伸びなかった。本人は複雑かもしれないが…。これから次々とディナーのお誘いが来るかもしれない。