今年の「全英オープン」の舞台となったスコットランドにあるロイヤルトルゥーンGCは、1878年に設立された歴史あるリンクスコース。1番と18番が隣合わせになっていて、そこから奥に進むと最深部に9番と10番があります。“長い丸”を描いたようなレイアウトになっていました。
アウトコースの右側には海が広がり、歩いていると潮の香りが漂ってきます。風向きは日によって追い風になったり向かい風になったり、気まぐれな“これぞ全英”というコンディションでした。今回は、練習ラウンド期間はアウトでフォローの風が吹いていて、試合期間は基本的にアゲンストの風が吹いている…そんな状況。これには選手たちも「全然違うから、難しかった」と苦戦していました。
期間中は午前7時半ごろから午後9時半を過ぎるまでコースを歩いていましたが、風が落ち着くのは午後6時あたり。一日中ほぼほぼ風は強い状態で、時には目を開けるのも必死というくらい全身にぶつかってきます…。そのなかで選手たちのフェアウェイにしっかり打つ姿や、グリーンを捉えたりしている姿を見ると『さすがだな…』。感銘を受けてばかりでした。
私はロープ内に入れるバッジを持っていたので、フェアウェイも歩いてみたのですが、本当に硬い。選手たちがグリーンの手前20ヤード前からパターで打っている姿もよく見たのですが、これも『なるほど…』と納得。ドライバーで打つとボールは跳ねやすいこともあり、キックが悪いとラフやブッシュ、ポットバンカーなどに入りやすい。フェウウェイにはたくさんのポットバンカーがあり、2番パー4ではなんと11個のバンカーがあって驚きました! 平均すると、1ホール5つくらいはあるのでしょうか…(苦笑)。
ブッシュを歩いてみると、足取りが重くなるほど草が長い。たんぽぽなどお花も咲いていたり、ゴルフ場というよりはただの“荒地”? そこにフェアウェイとグリーンを置いたような…そんなコースです。
日本勢が口を揃えて「難しい」と話していたのが、名物ホールと言われる8番パー3(123ヤード)。ここはグリーンがスコットランドの切手に似ていることから“ポステージスタンプ”というホール名がつけられています。クラブハウスにあるショップに行ってみると、8番のグッズもあるほど。記念にひとつグリーンマーカーを購入したのですが、切手に見立てたデザインと形がとてもかわいいんです。写真を載せたので、ぜひ見てください。
8番のグリーンは縦長で、周りにはポットバンカーが5つあります。左のバンカーはグリーンから下り傾斜になっているのと、真横にあるため、ピン位置や落とし位置によっては簡単に入ってしまいます。横幅は5ヤードもなく、打つ場所によってはテイクバックが上げられず横に出すか、もしくはアンプレヤブルをしないといけない…そんな“魔の穴”です。そこには大きなスタンドが設備されていて、盛り上がるホールのひとつでした。
4日間コースを歩いていて思ったのは、1番から18番まで景色がとくに変わらないこと…(笑)。いまどこにいるのか、たまにわからなくなることがあり、ホールの看板を頼りに歩いていました。途中、驚いたのは道が砂浜になっていた場所があったことです。海が真横にあることから、『もともと砂浜だった場所をコースにしたのかな?』なんて思うことも。
歩けば歩くほど発見があるというか、とにかく初めての本場のリンクスコースは驚くことばかりでした。連日、半日以上をコースで過ごした“激戦の4日間”でしたが、感動も多くあっという間に幕を閉じました。(記者A)