<パリ五輪 最終日◇4日◇ル・ゴルフナショナル(フランス)◇7174ヤード・パー71>
「自分が負けただけじゃない。スペインのすべての人を失望させてしまった。言葉がない…」
スペイン代表のジョン・ラームは最終日を首位タイでスタートし、前半は「31」をマークした。10番でもバーディを奪って大台のトータル20アンダーに到達。2位の松山英樹とのリードを4打に広げ、金メダルに向けて独走体勢に入った、と思われた。
しかし「魔の4ホールだった」とのちに振り返ったのは11番から14番。この4ホールでなんと4打落とした。
始まりは11番パー3だった。「ティでは風を感じなかった」というが、フォローの風に乗ってピン奥10メートルにオン。そして「読み違えた」というバーディパットが1.5メートルオーバーすると、返しを外して3パットのボギーで後退した。
12番パー4もボギー。そして「最大のミス」は14番パー5の第3打だった。ティショットを左のラフに入れて、フェアウェイにレイアップ。残り162ヤードからの3打目がグリーンからわずかにこぼれ、左のラフへ。「あそこは絶対に左のミスは許されない。右にきちんと乗せて2パットで良かったのに…」。第4打は傾斜のきついグリーンに届かず、戻ってくる痛恨のミス。1.5メートルのボギーパットを外してダブルボギーにすると、首位から転落した。
なすすべがなかった。17番からの2連続ボギーでメダル圏内からもはじき出された。「18番は本当に残念だった。バーディをとればヒデキとのプレーオフにできたのに…」。最後まで流れは変わらず、トータル15アンダー・5位タイで表彰台を逃した。
普段と違うプレッシャーがあったのか? そう問われると「そうは思っていなかったけれど…。そうなのかもしれない」とマスターズチャンピオンはうなだれた。
それでもこのメダル争いをラームは前向きに捉えている。「今週得たことを考える余裕はないけれど、でもいいゴルフができた。昨年末から低迷していたからね。これからLIVゴルフのシーズン終盤に向けても、きっといい勢いになる」。そう言って静かにコースを去った。(文・武川玲子=米国在住)