USGA(全米ゴルフ協会)は3日、先週末に開催された年次総会での決定事項を発表。その中で2044年の「ウォーカーカップ」を米ニュージャージー州の“パインバレーGC”での開催を決めた。
「ウォーカーカップ」とはライダーカップのアマチュア版でR&A(英国ゴルフ協会)とUSGAの共催。米国対英国&アイルランドがチーム戦で対戦する。その歴史は古く第1回は1922年に米ニューヨーク州のナショナルゴルフリンクスで行われた。
ウォーカーは、米国の実業家、ジョージ・ハーバード・ウォーカー氏の名前に由来し、元米大統領のジョージ・H.W・ブッシュの祖父、息子のジョージ・W・ブッシュはウォーカー氏の曾孫にあたる。
開催は2年に一度だが、そのコースは蒼々たる名門コースが並ぶ。1923年の第2回はセント・アンドルリュース・オールドコース、1926年にはイリノイ州のシカゴGC、ロサンゼルスCCも2017年に開催。カリフォルニア州ペブルビーチに隣接するサイプレスポイントクラブは1981年に開催し、今年9月の舞台になっている。
1936年、1985年の2度開催されている“パインバレーGC”はニュージャージー州にある超名門コースで、多くのメディアや識者が選ぶ世界のゴルフコースランキングで1位を独占してきた。しかしながらツアー競技を開催しないことから、人々の目に触れる機会はほとんどない。なので、「世界ランキング1位」と言えどもあまり馴染みがないのかもしれない。
その歴史は古く、1913年にフィラデルフィアのアマチュアゴルファーのグループによって創設。ニュージャージー州の土地を購入した。コース設計をしたのはジョージ・アーサー・クランプ氏で、1922年の全ホールが開場する前の1918年に他界している。AW・ティリングハースト、ハリー・コルトらコース設計のこちらも蒼々たるメンバーが共作として名を連ねるから貴重な作品となっているのかもしれない。
当然のことながら超プライベートの名門コースで、そのメンバーになれるのはオーガスタ・ナショナルGCなどと同様に「招待された人だけ」。プレーできるのもメンバー同伴は必須でさらにローハンディキャップの人と限られているという。鬱蒼とした森の中に位置し、米ゴルフの伝統が息づくコース、19年後の大会に出場する選手は、まだ生まれていないのかもしれない。(文・武川玲子=米国在住)