<全英オープン 3日目◇20日◇ロイヤルトゥルーンGC(スコットランド)◇7385ヤード・パー71>
多くのビッグネームも予選敗退した世界最古のメジャーにあって、54位タイで決勝に進んだアダム・スコット(オーストラリア)が3日目にリーダーボードを駆け上がった。6バーディ・1ボギーの「66」で、トータルイーブンパーの10位タイまで浮上。トップと4打差で最終日を迎える。
出だしから連続バーディを決めると、5番、7番でもスコアを伸ばし前半はボギーなしの4バーディ。後半は2バーディ・1ボギーだったが、大きなミスもなくホールアウトした。「文句はないよ。いいゴルフができたし、ミスも少なかった」。ツアー屈指のナイスガイが、紳士的な笑顔で一日を振り返る。
今回の舞台は2016年以来の開催となるロイヤルトゥルーン。全英らしいリンクスコースで、両サイドにはもちろん1本の木も生えておらず、コースの隣には海が広がる。この3日間は英国らしい天候で、雨、風を乗り越えながらのプレーが続いている。
「リンクスでアグレッシブに呑気にプレーするのは難しい。不注意にショットを打つと大変なことになる」。少しでも曲がるとフェアウェイ横のブッシュにつかまり、チャンスにつけるのは難しい。そんな繊細さが求められるなかでの好プレーだった。
13年の「マスターズ」優勝など米ツアー通算14勝を手にするスコットも、現在44歳。海外のみならず日本での人気も変わらずだが、20年の「ジェネシス招待」以降、優勝から遠ざかっている。ラウンド後の取材では、選手が壇上に上がり取材を受けるのだが、話しかけられた記者に対して目線を同じ位置にするためか、ヒザを少し曲げて姿勢を落とすなど紳士的なシーンも印象的だった。
今大会でメジャー連続出場記録を93回に伸ばしたが、初出場は01年の全英だった。優勝はマスターズでの1勝だが、初めてメジャーの芝を踏んだ舞台でチャンスが訪れた。3日間でアンダーパー以上の選手はわずか9人。気まぐれな天候とあって、最後まで何が起こるか分からないのもリンクスの醍醐味。優勝の可能性が見えているなか、どのようなプレーを見せてくれるかに注目したい。(文・高木彩音)