<AT&Tペブルビーチ・プロアマ 最終日◇6日◇ペブルビーチGL(米カリフォルニア州)◇6972ヤード・パー72>
マンデーフィニッシュとなったペブルビーチGLの18番ホール、50センチのウイニングパットを沈めると、この日の晴れ渡った空のようにジャスティン・ローズ(イングランド)は大きな笑みを浮かべ、両手を空に掲げた。
強風、雨、雹(ひょう)…と悪天候に見舞われた今大会、2打リードで首位に立っていたローズは9ホールを残して月曜日の早朝にペブルビーチへと戻った。
再開ホールの10番パー4でグリーンエッジから1メートル強に寄せてパーセーブ。11番パー4で8メートルを沈めてバーディ、13、14番と連続バーディでスコアを伸ばすと、ここからは安定したプレーで逃げ切った。
米ツアー通算11勝目は、2019年1月の「ファーマーズ・インシュランス・オープン」以来の実に4年ぶり。「4年も経ったなんて、本当に時が過ぎるのは早い…。でもペブルビーチで勝つことは本当にスペシャル」と42歳は感慨深かった。
13年の「全米オープン」を制したメジャーチャンピオンのローズは、今年は「違った目標」を掲げた。それは4月のマスターズに出場すること。ローズは2010年にセント・アンドリュースで開催された「全英オープン」以来、昨年7月の同じセント・アンドリュースでの「全英オープン」まで、12年間に渡り48大会すべてのメジャーの出場権を獲得してきた(20年の全英はコロナ禍で開催中止)。
「記録を終わらせたくなかった」とローズ。特に昨年の全英オープンでは第1ラウンドへのウォーミングアップをしているときに腰を痛めて棄権。さらにメジャーへの思いが強まった。
19年にファーマーズで勝利したときには世界ランキング1位だったローズだが、今大会前の世界ランキングは71位。もっとも悪かったときは84位まで下降した。「オーガスタへの思いはずっと持っていた。3月末までに良いプレーをして世界ランキングを(出場権を獲得できる)50位内に上げることを考えていた。でも勝って招待を受けるのはもっと素晴らしい方法だった」。
そのマスターズでは2度2位に入っている。15年、そして17年大会はセルヒオ・ガルシア(スペイン)とのプレーオフを戦い、1ホール目で敗れた。
強風が吹き荒れた今大会の第3ラウンドの土曜日、モントレーペニンシュラCCをプレーしていたローズは首位とは6打差だった。9番パー3で1メートルにつけたが、強風でボールが1メートル以上動いた。その直後に試合は強風でプレー不能と判断され中断となった。
日曜の早朝に9番に戻ってきたローズは2メートル強のパットを沈めてバーディ。「ツアーを長くプレーしているとこういう『幸運』がある」とローズは静かに笑う。オーガスタ・ナショナルGCでも『幸運』が待っているかもしれない。(文・武川玲子=米国在住)