米国のみならず世界各地で予選が行われ、まさにバラエティに富んだ出場選手となる全米オープン。もちろん主役はトッププレーヤーが務めるはずだが、晴れの舞台に立つ喜びをかみしめる苦労人も多い。
米国生まれの43歳、ベリー・ヘンソン。サンディエゴ大学からプロを目指したものの、PGAツアーカード獲得に7回失敗し、ついには活路をアジアンツアーに見いだし、2011年にタイへ渡った。
手持ちの資金も枯渇していただけに一世一代の勝負だったが、同年5月の「ICTSIフィリピンオープン」で優勝。「私がプロゴルファーであり続ける、それでお金を稼ぐためにできる限りのことをしよう」という思いを胸に、その後も世界各地でプレー。2022年には「アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ ダイヤモンドカップゴルフ」で来日しており、通算1アンダーで18位タイに入っている。
2011年以降は優勝こそなかったがコンスタントに成績を残し、今年2月のアジアンツアー「インターナショナルシリーズ・オマーン」で2位となったことで、ワールドランキングも上昇。これにより全米オープンの1次予選を免除され、本戦直前に行われたロサンゼルスでの最終予選に臨み、見事に4枠のうちの1枚を獲得した。
これに本人がうれしくないはずもなく、ツイッターには全米オープンの公式理髪店で散髪してもらっている様子なども投稿する一方、「今週は謙虚さを保たなければいけない」と冷静さも併せもつ。「もし自分のゲームに改善が見られないなら、他のことをしようと思っていたが、毎年、私は少しずつ、少しずつ、少しずつよくなっているように思う。そして、私は43歳で初めてのメジャーチャンピオンシップに出場し、旅を始めたような感じなんだ。行けるところまで歩んでみるよ」。
2016年に手首の負傷で戦列を離れて以来、パートタイムのウーバー配達人としても働く43歳にとって、夢の舞台でのティオフはまだまだ旅の途中だ。