＜パリ五輪　事前情報◇30日◇ル・ゴルフナショナル（フランス）◇7174ヤード・パー71＞

前回の東京に続き、2つ目の金メダルを目指す米国代表のザンダー・シャウフェレは、メジャー2勝という大きな弾みをつけて、フランスに入った。現地30日に行われた公式記者会見では「新しい大会のように感じる。 ファンの期待も高まっているし、オリンピックがどういうものなのか本当の意味で感じ始めていると思う」と話す。

それは3年前に行われた東京五輪が、コロナ禍の開催だったことが大きい。外出制限によりホテルとコースの行き来のみで、さらに試合は無観客。“五輪の雰囲気”をあまり感じられないなかでの生活だった。東京での他競技観戦は、すべてホテルの部屋のテレビを通じて。「全部日本語（の放送）だったんだけど、僕は日本語がまったく話せないんだ。 厄介だったね」。しかし今回は競泳を会場で観戦するなど、「僕にとって夏のオリンピックで体操や飛び込み、水泳、陸上を見て育った」というほどファンでもある祭典を楽しんでいる。

とはいえ東京五輪でメダルを獲得した瞬間のことを振り返ると、「心拍計をつけたら、ドキドキしていただろうね。 見た目は落ち着いているように見えたかもしれないけど」という気持ちを思い出す。今季、充実のシーズンを送っているなかで、再びあの通常の試合とは異なる緊張感を味わいたい。

5月の「全米プロ選手権」で悲願のメジャー初制覇を成し遂げると、2週前には「全英オープン」のタイトルも獲得。先週はポルトガルを訪れるなどして英気を養った。2016年のリオ五輪で、112年ぶりに正式競技として復活したゴルフの五輪での歴史は浅い。「30年後、40年後に金メダルがもっと注目されるようになって、オリンピックに出場することが当たり前のこととして認識されるようになれば、本当に特別なものになる」。メジャー勝利とはまったく違う価値を、五輪に見出している。

現在は72ホールのストロークプレーによる個人戦のみが行われているフォーマットについての質問も投げられたが、「伝統的であり、何の問題もない。マッチプレーはちょっと違うかな、というのが僕の考え」と金メダリストは立場を示す。ただ、五輪翌週には、ツアーのシーズン最終戦「ウィンダム選手権」が行われ、すぐにプレーオフに突入する日程には頭を悩ませている様子だ。「今の状況を考えれば、（五輪後は）1週間休んで、プレーオフのために3週間連続でプレーする」と現在の考えを明かすが、年間王者が決まる3試合への調整法を模索する必要がある。

とはいえ今は、「国歌斉唱が聞こえて、グリーンから降りて、父とメダルを分かち合うことができた。まず、オリンピック選手になることは、父がずっと望んでいたこと」という大舞台にすべてを注ぎ込んでいく。2大会連続の金メダル獲得という挑戦が始まる。