<コグニザントクラシックinパームビーチ 初日◇27日◇PGAナショナルリゾート チャンピオンC(フロリダ州)◇7167ヤード・パー71>
2025年シーズンのフロリダスイング1試合目はPGAツアーでも屈指の難コースとして知られる「PGAナショナルリゾート・チャンピオンコース」。池がらみのホールが多く、15番〜17番ホールはコースを改修したジャック・ニクラス(米国)の罠が仕掛けられているため「ベア・トラップ」と呼ばれている。
しかし、初日はコースの牙は隠れたままだった。風も弱くグリーンもソフト、オーバーシードされたフェアウェイはスコアを出すに絶好なコンディションだった。
ジェイク・ナップ(米国)は早朝の午前7時18分に1番からスタート、出だしから3メートルを沈めると2番パー4は花道からチップインするなど5連続バーディと絶好調。9番パー4は1.2メートルにつけて伸ばすと前半は「29」をマークした。後半に入っても勢いは止まらず10番パー5は2オン、11番パー3も2メートルを沈めて3連続バーディ、13、14番も伸ばすと“ベア・トラップ”の15番パー3は9mを沈めてバーディ、16、17番をパーにまとめた。
「きょうはすごく良いショットが打てていると思った。だからどのホールもバーディを狙って行った」とナップ。いよいよ最終18番。50台をマークするにはバーディが必要なのだが、「正直なところ、スコアはあまり考えていなかった。考えすぎると余計なプレッシャーがかかってしまう」と平常心を保とうとしたという。
「これが最終日で優勝争いだったらまた違ったかもしれないが…。でも、今はその優勝争いのたえに良い位置につけたい。今日は良いプレーをしている自分を信じて目の前の一打に集中した」という第2打は残り200ヤード。池越えを果敢に攻めて5メートルに2オン、イーグルは逃したがバーディを奪い堂々の『59』を記録した。
暫定ながらトップに立ったが、4打差の8アンダーに3人、7アンダーは5人と好スコアが続出している。
50台のスコアはPGAツアーでは14人目、15度目の記録(ジム・フューリク(米国)が58.59の2度マーク)、大会記録でコースレコードも樹立した。
ナップはカリフォルニア州コスタメサ生まれ、UCLA出身の30歳、昨年は「メキシコオープン」でツアー初勝利し、昨年の今大会でも4位タイに入った。「89を打っても59をマークしても、また明日ここに来て自分の仕事をしなければならない。ここ2週間ほど自分の取り組んできたことがうまくいっていると感じていた。あすもトライするだけだ」と、気持ちを引き締めた。(文・武川玲子=米国在住)