2年に1度、米国代表と欧州代表が戦う「ライダーカップ」。米国側はPGA・オブ・アメリカが主催、欧州側はDPワールドツアーの主催となっている。“名誉”をかけた戦いは伝統的に“優勝賞金”はない。だからこそトップ選手の熱いプレーはゴルフ界の最大の人気イベントとしてファンも熱狂する。
しかし、PGA・オブ・アメリカは16日、米国代表の選手は1人50万ドル(約7500万円)を得ることを正式発表。1999年以来米国代表は20万ドル(約3000万円)を得各選手が望むチャリティー基金への直接寄付を行ってきたが、これが一気に50万ドルへ増額。そのうち30万ドルはこれまでと同様にチャリティー基金へ寄付し、残りは各自の俸給、つまり報酬となる。「ライダーカップはゴルフ界で最も特別な大会。これまで選手、キャプテンが補償を求めたことはなかったが、米国代表のチームメンバーがゴルフの成長を支援するために役立てほしい」とステートメントを記した。
ライダーカップを戦う選手とキャプテンに報酬が支払われないことは長い間論争となってきたが、昨年のローマ大会では無報酬に反撥したパトリック・キャントレー(米国)が帽子を被らずにプレーしたとされ、今秋は注目を集めた。「賞金がないからこそ、真の戦い」と言われる一方で、主催するPGA・オブ・アメリカ、DPワールド(欧州)ツアーは放映権、チケット販売、グッズなどから大きな収入を得ていることに異論を唱える声もある。
タイガー・ウッズ(米国)は12月、自身がホストを務める「ヒーローワールドチャレンジ」の会場で「選手には1人500万ドル(約7億5千万円)ずつ配り、それをチャリティーに役立てるべき」と主張した。米国代表が同金額を受け取る一方で、欧州代表には配分されない。ローリー・マキロイ(北アイルランド)は「ライダーカップに出場できるなら、お金を支払ってもいいくらいだ」と話している。(文・武川玲子=米国在住)