米国男子ツアーの来季出場権をかけた最終予選会(Qスクール)に出場し、その出場権を得た金谷拓実が18日に帰国した。19日にはインタビューに応じ、その喜びを語った。
2015年に国内男子ツアーにアマチュアとして初出場。17年「日本オープン」では2位に入った。そして19年「三井住友VISA太平洋マスターズ」で松山英樹以来、8年ぶりにアマチュア優勝を達成。20年にプロ転向を果たし、ここまで通算7勝を飾っている。今季は初めて賞金王にも輝き、そのタイトルとともに米予選会に挑戦した。
国内最終戦のメジャー「日本シリーズJTカップ」を終えてそのまま渡米して出場した2次予選会を通過。最終予選会の初日は59位と出遅れたが、そこから巻き返して3位で終えた。5位タイまでの狭き門を突破してツアーカードをつかんだが、これまでを振り返ると、苦しい時間が長かった。
「アマチュアである程度は頑張っていたけど、プロに転向して、(海外)メジャーに出ても全然うまくいかないし、推薦で出場させてもらっても『こんなにレベル高いんや…』とか苦しい思いしかしてこなかった。プロになって1~2年間の、チャンスをもらえていたときが1番苦しかった」
納得の結果が出せなかったこと、ゴルフの調子が悪くて苦しんだこと――。最終予選会を終えた直後は、これまでの様々な思いが込み上げ、涙が止まらなかった。そのときの様子はPGAツアー公式インスタグラムに投稿されているが、「めちゃくちゃ恥ずかしいですね(笑)」と照れ笑いしながら、「でも本当に(涙が)止まらなかったです」と振り返った。
念願の夢を叶え、次のステージに進む切符を手にした今シーズン。漢字一字では『誠』と表現した。「誠(まこと)という字が好き。どの一打も“誠実に”プレーした気持ちがある。自信を持って言える」と強い眼差しで話した。
金谷はこれまでの試合で、“自分らしいプレーをする”、“目の前の一打を大切に”ということを必ず話していたが、これは自身のマインドにつながる理由があった。「(同じ言葉を繰り返して)すごく申し訳ないですけど…。自分らしいって言い続けていれば、自分を見失わなくて済むのかなって。良くないときも、良いときも、気持ちが落ちそうなときも、すごく大事なことかなと思います」と明かした。
プロになって今年で5年目。デビュー当時といまを比べると、「年を重ねるにつれて、一打の重みを感じているなかで、それに負けない一打を打つ技術は高くなったと思う」と成長を感じている。来季は新しい舞台で、“一打の重み”をより感じるに違いない。
「ここがスタート。しっかり準備をしたい」と意気込み、米ツアー初戦は、1月9日開幕の「ソニーオープン・イン・ハワイ」になる予定。短いオフは「ハワイのコースに似ている」というキャディのアドバイスから、沖縄県のゴルフ場で合宿を行う。気持ちを新たに、米ツアー初優勝を目指して準備に取りかかる。(文・高木彩音)