PGAツアー8勝、シニアのPGAツアー・チャンピオンズで22勝を挙げ、世界ゴルフ殿堂入りを果たしたチチ・ロドリゲス氏が8月8日死去した。88歳だった。出身地のプエルトリコのカルメロ・ハビエリオス上院議員が発表。死因は公表されていない。
PGAツアーのジェイ・モナハン会長は「チチ・ロドリゲスのチャリティと支援活動への熱意は並外れたゴルフの才能と同じほど高かった」とコメントを発表。「活気に満ちあふれた個性でPGAツアーに大きな恩返しをしてくれた。ロドリゲス・ファミリーに哀悼の意を表します」と綴った。
プエルトリコで6人兄弟の次男として生まれた。サトウキビ畑の収穫で父を手伝いながら、クァバの枝とブリキ缶でゴルフを始めた。その後キャディとして働きだし12歳で67をマークしたと自叙伝で語っている。
1955〜57年に米陸軍に従事、60年にプエルトリコ出身の初の選手としてPGAツアーに参戦し、63年に初勝利を挙げた。ユニークなパフォーマンスで大人気だった。パターを剣のように振り回し、ときに「マタドール・ルーティン」と呼ばれた。またパットが決まるとサルサステップで踊った。盟友の青木功やリー・トレビノ(米国)がパターで応戦する姿もしばしば見られ、ファンから歓声を集めた。
70年代にはフロリダ州タンパで子供向けのアカデミーを開設。「貧乏だったゆえに自分の子供が持てなかったから、子供が大好きだ」と。98年には心臓発作で入院。「50%の確率で助からないと言われたが、勝率に勝った」と話した。
92年に世界ゴルフ殿堂入り、PGAツアー8勝のあと、85〜2022年にシニアのPGAツアー・チャンピオンズで22勝、生涯獲得償金は760万ドル(約11億円)を超えた。(文・武川玲子=米国在住)