国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは第8戦の「ECCレディス」が兵庫県の北六甲カントリー倶楽部 東コースで開催される。シーズン中盤戦は6連戦の2試合目。佐賀県から兵庫県に移り行われる1戦はどのような展開が待つのか。自身も同ツアーに出場する大和笑莉奈に注目選手、今大会のキーポイントを聞いた。
優勝したことで求めた“さらなる進化” 鬼頭さくらの求める地固め&疲労回復のコツは?【大和笑莉奈の突撃ステップ・アップ便り】
今週のステップ・アップ・ツアーは兵庫県が舞台。そこで注目選手を大和笑莉奈に聞いてみた。
配信日時:2023年5月30日 08時12分
国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは第8戦の「ECCレディス」が兵庫県の北六甲カントリー倶楽部 東コースで開催される。シーズン中盤戦は6連戦の2試合目。佐賀県から兵庫県に移り行われる1戦はどのような展開が待つのか。自身も同ツアーに出場する大和笑莉奈に注目選手、今大会のキーポイントを聞いた。
■優勝したことによって次のステージへ
ステップ・アップ・ツアーもこれで今季8戦目。毎週違う優勝者が生まれている。シーズン開幕戦となった「大王海運レディスオープン」で優勝した選手を覚えているだろうか。28歳の鬼頭さくらだ。2014年のプロテストに合格し、15年にはステップ・アップ・ツアーで初優勝。そして今回8年ぶりに2勝目を挙げた。
「日本ジュニア」制覇や「日本女子オープン」での予選通過、プロトーナメントでのベストアマ獲得など輝かしい成績を残してプロ入り。17年にはレギュラーツアーで1800万円以上稼ぐなど、活躍したシーズンもあったが、今季の出場優先順位は84位でステップ・アップ・ツアーが主戦場。そんな鬼頭の優勝の裏には何があったのか。大和が切り込んだ。
「開幕の直前はめちゃくちゃ調子がいいというわけではなかったのですが、コースに入ったらよくなって」と、初日に5アンダーで首位発進を決めると、湿ったコンディションとなった大会2日目はイーブン。「途中までは絶対優勝するという気持ちも持ちながら、練習通りのことをやろうと心がけていました」と、自分のプレーをやり通すことに専念していたという。
スコアこそ伸ばせずに終わった2日目だったが、周りも伸び悩み首位を守ると、最終日は圧巻の5アンダーで後続を振り切った。「最終日のバックナインは『絶対勝つぞ』という強い気持ちを一ホール一ホール持ちながらやっていました」と鬼頭は振り返る。
久しぶりのうれしい優勝。そこから鬼頭はさらに“進化”を求めた。「調子を維持しているかどうかはわかりませんが、優勝してから1カ月半後くらいから、新たに自分を進化させたいと思い、新しい課題に取り組んでいます。疲れてくると上体だけで打つようになってしまう。フェース面を変えないように、体全体でボールを押し込んでいけるように練習して、トレーニングもしています。『地を固める』のが狙いです」(鬼頭)。
地を固めるという基本中の基本を見直し、ならしていく作業を続けている鬼頭。「基本ができるようになれば、風や傾斜などにも対応できます。そしてなにより故障を防げます。上体だけだとどうしても体を引っ張ったり、伸ばしたりという動作が出てしまいます。そうなると悪循環に入ってしまうので、いまは地を固めることです」。進化を求める気持ちがより芽生えた優勝となったようだ。
■コースを離れたら…読書にサウナ!
優勝で浮き足立たず、地固めに取り組んできた。その影響はここに来ても出ているようだ。「ステップはいま、台湾での1戦を加えれば6連戦中です。そのあいだにマンデートーナメントもあったりしますので、かなり疲れも出ているのではないでしょうか」と大和。これに対して鬼頭も賛同。「最近はオフがとれていません。試合が終わってその日に帰って、次の朝にケアをして、すぐに出発」という流れです」。その中で体を休めるにはどうしているのか?
鬼頭がいまはまっているのは読書。特にメンタル面の本がお気に入りだ。「自分がこうしたい、ああしたいということに対して答えを探してみたりしています。本を読むのが楽しくなりました」。地固めは技術面、体の面もそうだが、頭の面でも実践中。「1週間に2冊は読みます」と、少ない空き時間の活用にも余念がない。さらにもう一つ、昨年から通っているという場所がある。
昨年の9月からはまっているのがサウナだ。「昨年は毎日サウナ通いをしていました。疲労回復のため。私はそう信じて入っています(笑)。いまは毎日ということはありませんが、先週も入ってきました」と、体のことを考えて、いいと思ったことにはトライする。
「今度一緒に行こう(笑)」こちらもサウナ好きの大和が鬼頭を誘い、サウナ女子会が開催されるかも。「びっくりするよう話がなくてすみません(笑)」と笑顔の鬼頭だが、ゴルフ面でも、私生活の面でも、成長につながる発想と実践を繰り返している。これこそプロにとってもっとも必要なことだと言えそうだ。
■すこしウェットな状態のコースはどんな感じ?
今週の舞台は日本ゴルフ発祥の地。雄大な自然に囲まれた北六甲が熱戦を待ちうける。「毎年開催しているコースですが、今年の状況を鬼頭選手に聞いてみました」と、生の状況を大和が聞いてくれた。
「月曜から火曜にかけてかなりの雨が降りましたのでスピードがもしかしたら遅いかもしれませんが、それでもグリーンはすごく硬くていい仕上がりでした」と、天候にもかかわらず、コンディションは良好。「コースはすこし長くなった感じがします」と昨年の6480ヤードから6516ヤードに延長。しっかりと距離も出しつつ、天候を見ながらスコアメイクをしていく必要がありそうだ。
優勝した開幕戦も日によってグリーンスピードがかなり変化するなど、天候に左右された。総距離6600ヤード超えの長いコースで鬼頭は勝利を掴みきった。となれば、さらなる進化を遂げている鬼頭にとっては、今回のコースも好相性となりうる。そう大和は締めくくった。
解説:大和笑莉奈(やまと・えりな)
1990年2月13日生まれ、山形県出身。中学時代にはアルペンスキーで全国大会出場経験も持つ。宮里藍らを輩出してきた名門の東北高校ゴルフ部に進み腕を磨くと、2009年のプロテストに合格。13年には「エディオンレディースカップ」でステップ・アップ・ツアー優勝。レギュラーツアーでも優勝争いを経験してきた。現在はテレビでの解説なども務め、21年にはゴルフ業界活性化、女子プロゴルファーの新たな可能性追求のため、「LPGA女子プロゴルファーズ連盟」を立ち上げた。
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