<地域みらいグル-プレディス佐嘉窓乃梅カップ 最終日◇27日◇武雄ゴルフ倶楽部(佐賀県)◇6420ヤード・パー72>
昨年のプロテストに合格してから半年。ルーキーの高野あかりがプロ初優勝を鮮やかな逆転劇で決めた。首位と2打差から出た高野は3バーディ・1ボギーでラウンド。周囲も伸び悩む中、トップのトータル8アンダーでゴールテープを切った。
最終組の一つ前で回り、終わってみれば5人が並んだ1打差の2位タイをなんとかかわしての勝利。第一声は「うれしいのと、びっくりしているのと」と、まだ実感は湧かなかった。
首位に立っているのを知ったのは15番。「名前が一番上にあったのでめっちゃびっくりしました。(リーダー)ボードを見てからはすこし優勝を意識してしまったけど、自分のやるべきことに集中して」と気持ちを落ち着かせ、17番をボギーとしながらも、なんとか最後まで自分のゴルフを貫いた。
18番では5メートルのバーディチャンスから「ショートはイヤだと思って」と強気にヒット。これが80センチオーバーした。「最後のパーパットはこれまでで一番緊張したかもしれない」というしびれるものだったが、見事に決めきってみせた。
今年の1月に27歳になった。同学年には永峰咲希、堀琴音、柏原明日架、木村彩子らツアー優勝者がズラリ。多くの選手が高校卒業と同時にプロテストを受験する中、「ムリだと思って」と法政大学に進学した。そこで経験を積んで大学2年時にプロを意識。プロテストは5回目の受験でようやく合格を果たした。「毎年落ちるたびにやめようと思いました」と苦しい時間を過ごしながらも、家族や周囲の励ましに背中を押された。「これが最後だと思って」受験した昨年、ついにプロゴルファーの仲間入りを果たすと、わずか6試合目にして初優勝を挙げた。
「年齢的にも(同期より)上の立場ですし、私は27歳で周りより遅れをとっているのですが、今回の優勝は本当にうれしいです」。苦労をしたぶん、湧き上がる喜びはひとしおだ。
普段は自信がないタイプと自己分析するが、「今回の優勝で自信になったので、1勝で終わらずに2勝、3勝として賞金ランキング2位に入りたいです」と、一気に目標を上方修正することになった。
「徐々にしか強くなっていけないと思っています。息の長い選手になりたいです」。確かに一歩ずつ進む覚悟に年齢やキャリアは関係ない。着実にステップ・アップするための第一歩は佐賀から始まる。