<ルートインカップ 上田丸子グランヴィリオレディース 最終日◇10日◇上田丸子グランヴィリオゴルフ倶楽部(長野県)◇6314ヤード・パー71>
豊作の90期生から、また新たな優勝者が誕生した。ひりつくような優勝争いを演じた吉本ここねがプレーオフを制し、念願のステップ初優勝を果たした。
正規の18番グリーン上で、吉本は冷静だった。外せば敗退が決まるパーパットを前にして、「普通にやろうという感じ。意外といつも通りのリズムでできた」としびれる一打を沈めて笑顔。先にトータル12アンダーでホールアウトしていたルーキー・大須賀望とのプレーオフが決まった。
18番パー3での延長戦は一瞬でケリがついた。吉本のティショットはグリーン手前約2メートルへ。対する大須賀はピンまで距離のあるグリーンエッジ。大須賀のアプローチは外れた。残すは優勝を決める吉本のバーディパットだ。
「あまり考えずに、しっかりとラインを読んで」放ったウィニングパットは、カップに吸い込まれた。「ちょっとびっくり! 入っても入んなくてもいい距離だったんですけど、入ってくれた~っていう感じ」と“無心の一打”で勝利をつかんだ。
渋野日向子、原英莉花らとともに2018年のプロテストで合格を果たし、以後はステップを主戦場にしてきた。レギュラーツアーで勝利を重ねる同期たちを刺激に戦ってきたが、なかなか結果を残せずにいた。
「私は練習にすごい時間がかかってしまって、なかなか結果が出なかった。『意味ないんじゃないかな』って思ったり、苦しい時もあったんですけど…」
それでも腐らなかった。「日向子さんや原英莉花さん、同い年の(稲見)萌寧さん。90期生はすごいメンツ。やっぱりついて行けるようにっていう刺激はあります。自分のペースで課題を一つひとつこなして、技術を高めるために練習しました」。
レギュラーとステップを合わせて、90期生(21人中)11人目の優勝者になった。切磋琢磨する仲間たちに、ようやく胸を張って勝利の報告ができる。
「レギュラーに出て、上位で戦える選手になりたい。これを自信にして、またたくさん練習して次に繋げていきたいです」。6月10日(6=む、10=ちゅう)という“夢の日”に初優勝を飾った23歳。同期の背中を追いかけるドリームロードはまだまだ続く。