国内女子ツアーは次から次と現れるスターの活躍で毎年盛り上がりを見せている。そんな隆盛を支えるのは、下部ツアーの存在があるからこそ。そのステップ・アップ・ツアーからは、今年も多くの選手が昇格していく。編集部の推し選手や、動向を毎月チェックしていく。
■ステップ優勝、レギュラーツアーで即活躍の道
プロテスト合格、QT(予選会)参戦、出場権獲得という国内女子ツアーへの流れの中で、レギュラーツアーから漏れた選手はいわゆる下部ツアーに参戦する。それがステップ・アップ・ツアーだ。今年は全20大会が開催される。翌年のレギュラーツアー参戦をにらむ選手たちが、その戦いをスタートさせた。
近年では2021年春のプロテスト合格組の岩井明愛、千怜のツインズや21年秋組の川崎春花、そして22年に年間5勝の記録を打ち立てた櫻井心那ら、いまではレギュラーツアーで大活躍する選手たちもステップ出身。まさしく順調な1歩を踏み出している選手が多い。
ステップの地を踏まずにプロテスト合格直後のQTを上位突破しレギュラーツアーに参戦する選手も少数ながらいる中で、“ステップ行き”となった選手たちは、よりハングリーに上を目指して戦っている。ここでおさらい。プロテスト合格の翌年はステップ全試合の出場権があるため、新人プロたちは、ここで結果を出すことも多いのが特徴だ。
■開幕戦で見た“新勢力”
先週行われたステップ開幕戦の「YANMAR HANASAKA Ladies Golf Tournament」では、プレーオフの末に21年秋組の永嶋花音がプロ初優勝を飾った。昨年プロテストを通った高野愛姫を下しての勝利だった。永嶋は21年末のQTで上位に入り22年前半戦はレギュラーツアーに参戦。結果を残せずに昨年もステップが主戦場となったが、トップ10に2度入るなど力を蓄えてきた。
同大会のトップ10を見ると、21年以降のプロテスト合格者が5人。3位タイに入った高久みなみ(21年秋)、6位タイの奥山友梨(21年春)と、徐々に力をつけ、ブレーク間近の選手も顔を出した。そしてルーキーの活躍も大会を盛り上げた。高野をはじめ、高久と同じ3位タイには18歳の菅楓華。管は昨年末のQTで5位に入ったが、スコア誤記が判明し失格。レギュラーツアーを戦うはずだった今季前半戦を棒に振ったが、悲しみを乗り越え初戦で実力を見せつけた。
同大会では高野、管のほかに清本美波、與語優奈、河村来未、上久保実咲、村田歩香、稲垣那奈子、政田夢乃が予選を突破。新戦力が新たな勢力として、ステップで暴れそうだ。
■あらためておさらい、レギュラーツアーへの道
ステップが主戦場の選手にとって、大きな目標は確実にレギュラーツアーへの道を開くこと。シーズン終了時の賞金ランキング上位2人は翌年のレギュラーツアー前半戦の出場権を獲得する。櫻井は22年に圧倒的な強さで同1位に輝き、23年はレギュラーで4勝と、絵に描いたようなステップ・アップを果たした。
自動的にレギュラーツアーに昇格できる枠は2つと狭き門だが、もう一つレギュラーへの“近道”がある。それは、年末のQT1次をスキップし、ファイナルからの挑戦権を得られる仕組みだ。ステップの賞金ランキング3位から10位まではこの権利を獲得。さらにステップ各大会の優勝者も同権利を得るため、優勝か賞金ランキング10位内というのがひとつの目標になってくる。
昨年の同ランキング上位10人を見ると全員が優勝を果たしている。つまり、上位10人に入るには最低でも1勝は必須条件と見てよさそうだ。レギュラーツアーへの登竜門として始まったステップ。明確な目標を持って、地道に1年間を戦い抜く力が翌年のジャンプアップにつながっていく。
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永嶋の優勝に終わったステップ開幕戦。中2日で、9日(火)からは大分が舞台の第2戦がスタートする。レギュラーツアーの開催がない都道府県で多く開催される同ツアー。昇格を目指す選手の熱い戦いから目が離せない。