国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは開幕戦に続き、第2戦の「ラシンク・ニンジニア/RKBレディース」が福岡県のザ・クラシックゴルフ倶楽部で開催される。ツアーで唯一の2日間大会のため、混戦は必至。開幕戦の結果を踏まえ、36ホール短期決戦の見どころを、同ツアーで解説を務める中野晶に聞いた。
開幕戦でルーキーがV争い 2戦目は唯一の2日間大会、攻略のカギは?【中野晶のステップ・アップ通信】
国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは開幕戦に続き、第2戦の「ラシンク・ニンジニア/RKBレディース」が福岡県のザ・クラシックゴルフ倶楽部で開催される。
配信日時:2023年3月27日 07時00分
国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは開幕戦に続き、第2戦の「ラシンク・ニンジニア/RKBレディース」が福岡県のザ・クラシックゴルフ倶楽部で開催される。ツアーで唯一の2日間大会のため、混戦は必至。開幕戦の結果を踏まえ、36ホール短期決戦の見どころを、同ツアーで解説を務める中野晶に聞いた。
■堂々のプレーで優勝争いを演じたルーキー
開幕戦となった「大王海運レディスオープン」の最終日。優勝した鬼頭さくらに最後まで追いすがったのが、昨年11月の最終プロテストに合格したルーキーの小林光希だった。最終的にはトータル8アンダーで2打及ばずも2位でフィニッシュ。プロ初戦でいきなり優勝争いを見せた。
そんな小林のプレーを中野はどう見たのか。「見事なゴルフだったと思います。プレーぶりが素晴らしかったです。最後まで伸び伸びとプレーしていました。スイングもとてもいいですし、飛距離も出ていました。グリーンを狙うショットも良かったです。パッティングがあともう少し決まっていれば、優勝のチャンスもあったと思います」とデビュー戦のプレーに目を見張った。
「最終組のひとつ前の組で鬼頭さんとは組が違ったので、相手のプレーが見えなかったことで自分のプレーに集中できたことが良かったのかもしれません」とするが、それを抜きにしても堂々たるプレーぶり。「優勝争いに入っていたわけですが、そのなかでも表情を変えずにプレーしていました。歩き方も変わらず、コースを見て、ホールを考えながら自分のプレーをしっかりとしていると感じました」。
決して大柄ではないが、スイング面も評価。「トップの位置も高く、クラブの重さを使って高い位置からクラブが降りるので、高いボールが打てます。高いボールで強い、つまりショット力が魅力です」と技術面も高いという。
また、プロテスト合格から開幕戦までのあいだの過ごし方がうまくいったのではと中野は見ている。「いいオフを過ごしてきたのかなと思います。プロテストに合格してその勢いでQTも上位に入ってレギュラーツアーに出場している選手もいますが、ステップで開幕を迎える選手もいます。『わたし悔しい、負けない』と強く思える選手は、いいオフを過ごして、成績につながるのだと思います」。小林もまた、その一人かもしれない。
ホールアウト後、小林は「本当に悔しいです。でも、攻めるホールはしっかり攻められたし、厳しいホールは安全にプレーできたと思います。追いかける立場で、しっかり自分のプレーができたのはうれしかったです。チャンスのパットを決めていけるように、次戦までに調整します」と上位でのプレーで大きな収穫を得たと話す。
「これで、自分で自分に期待もするでしょうし、獲ったバーディの数が増えて、より上位に入ることができればもっと自信になっていくと思います」(中野)
優勝には届かなかったが、2位という結果は糧になっていく。今後の躍進に期待がもてそうだ。
■プロ1試合目で最終日最終組を経験 4位という順位は“プラス”
もう一人ルーキーが奮闘した。トータル2アンダーの4位タイに入った仲村果乃は最終日を最終組で回った。首位の鬼頭とは1打差のスタート。その鬼頭は2番からイーグル、バーディでいきなりリードを広げた。ところがその後は2ボギー。ひとつ伸ばすにとどまり折り返したが、そのプレーを間近で見ながら、仲村も前半を1アンダー。1打差のままサンデーバックナインに入った。
「ルーキーの中で最上位につけ最終組に入った仲村さんは、やはり優勝への意識が強かったのだと思います。スタートは良かったですが、キーになったホールは10番でした」。仲村はこの10番パー4で2打目をグリーンに乗せることができず3オン。そこから3パットを喫しダブルボギー。対する鬼頭はこのホールでバーディと、一気に差を広げられてしまった。
最終日最終組のプレッシャーを感じていたと明かした仲村。「鬼頭さんはずっと楽しそうにプレーしていて、ずっと笑顔だったので、私も同じようにしたいなと思いました。きょうは思っていた以上に緊張しました。前半は悪いプレーではなかったけど、後半はパターが分からなくなってしまって、やり切れなかったですね。最終日最終組の特別な緊張感が身に沁みました」。はじめての経験は重圧の中で終わったといってよさそうだ。
「鬼頭選手のプレーが素晴らしかったため、それに食らいつきたいと思えば思うほど力みも出たでしょうし、焦りもあったでしょう。最終組と優勝への意識で自分のプレーをさせてもらえなかったように見えます。それでも経験値としては残りましたし、次の試合への反省材料にはなったと思います」(中野)
結果的に最終日は2つスコアを落とし4位タイに終わったが、3日間トータルでアンダーパーはわずかに7人。「仲村さんの初戦の経験値としてのプラスは順位です。この試合をアンダーパーでプレーし、結果4位になったことは自信にしていいことです。最終日に何を意識してゴルフをしていたか、いいところはこうだった、悪いミスはこうだったという自己分析をすることが大事だと思います」。悔しさは次戦以降への発奮材料になる。
■“セカンドカット”も経験… 2日間競技ではスタートダッシュが重要
開幕戦の最終日は、朝から濃霧が立ちこめ、スタート時間が大幅に遅れた。そのため、2日目を終えて予選通過を果たしていた選手の中でセカンドカット、つまり2度目の予選カットで決勝ラウンドをプレーする人数を絞り、本来54ホールプレーできるはずだった20人がプレーをせずに終わってしまった。これはルーキーにとっても苦い体験となった。
「ルーキーは10人が出場して、予選を通ったのが7人。そのうち3人がセカンドカットになりプレーできませんでした。落ちてしまった3人は無念だったと思います。デビュー戦から切なさもあったと思いますが、悪天候になればこういうこともあるという経験にもなったはずです。予選を通っても一安心ではないということも含めて、1ストロークを大切にプレーしないといけないという勉強になったと思います」(中野)
そして第2戦は2日間36ホール競技。初日に出遅れれば、挽回するのは難しくなる。「もちろんマネジメントをしながらのプレーとなりますが、アグレッシブに攻めていかないと優勝はできません」と、通常の3日間、4日間大会とは違って最初から攻め続けることが重要になる。
昨年大会ではリーダーボードの上位がめまぐるしく入れ替わり、プレーオフまでもつれた。「最初のティショットを打ってからはゲームを壊すことなく、36ホールすべてを攻めきってほしいです」。開幕戦でセカンドカットに泣いた選手はなおさら、そうでない選手も、致命傷となる出遅れを回避するためにも、初日のティオフからバーディ狙いのゴルフを貫き上位進出を目指したい。
解説:中野晶(なかの・あき)
1987年のプロテストに合格し、90年に賞金ランキング25位に入りシード権を獲得。以降、ツアー通算9勝。2000年には同ランキング2位に入った。現在はテレビ解説や日本女子プロゴルフ協会の大会コースセッティングも担当するなど、幅広く活躍を続けている。
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