国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは第6戦の「ツインフィールズレディーストーナメント」が石川県のゴルフクラブ ツインフィールズ ゴールドコースで開催される。3月の開幕から4試合を終えて1カ月が空き、先週は初の台湾開催を終えたばかり。ここから5連戦の中盤戦が始まる。そこで同ツアーで解説を務める中野晶に今季のこれまでの戦いを振り返ると同時に注目選手、今大会のキーポイントを聞いた。
序盤戦を終えて複数回優勝者はゼロ、混戦から抜け出すのは? ここから5連戦、初戦は要注意の難コース【中野晶のステップ・アップ通信】
ステップ・アップ・ツアー第6戦「ツインフィールズレディーストーナメント」が18日に開幕する。見どころを中野晶に聞いた。
配信日時:2023年5月17日 07時00分
国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは第6戦の「ツインフィールズレディーストーナメント」が石川県のゴルフクラブ ツインフィールズ ゴールドコースで開催される。3月の開幕から4試合を終えて1カ月が空き、先週は初の台湾開催を終えたばかり。ここから5連戦の中盤戦が始まる。そこで同ツアーで解説を務める中野晶に今季のこれまでの戦いを振り返ると同時に注目選手、今大会のキーポイントを聞いた。
■5戦を終えて複数回優勝者はなし
ここまで5戦が行われたステップ・アップ・ツアーは、5人の優勝者が生まれている。初戦は鬼頭さくらが8年ぶりのステップ2勝目、3戦目では北村響が9年ぶりのステップ2勝目を挙げ、4戦目では福山恵梨が6年ぶりの優勝を遂げた。
2戦目では2021年6月のプロテストに合格した橋添穂、先週の台湾戦では小滝水音がステップ初優勝と、“誰が優勝してもおかしくない”状況。言い換えれば、群雄割拠の様相を呈しているも言える。
この序盤戦を終えて、「スタートダッシュに成功した選手はいなかったということではないでしょうか。複数回優勝をしている人がいませんし、誰かがずば抜けていいということがありません。賞金女王を目指すチャンスは全員にあると言えるでしょう」と中野は見る。「戦国時代なのかもしれません」と、突出した成績の選手が出なかった開幕5戦となった。
鬼頭、北村、福山という経験豊富な“中堅”選手の優勝には、「上位に入るためのゴルフを知っているというのはあると思います」とチャンスで経験値を生かすことができた。そして未勝利ではあるものの、プロ13年目の工藤遥加も現在の賞金ランキングは8位。いつ結果がでてもおかしくない一人。「例年であれば、『この選手はいつも上位にいるな』と思える選手がいるのですが、今年はそういう選手が少ないです」というなか、「工藤さんには注目したいですね」と今季ここまで4試合で2位1回、5位1回を含むトップ10が3回。早めに優勝カップを掲げ、現在の賞金ランキング8位からさらに上を目指し、シーズン中盤戦に向かいたい。
■賞金ランキングトップ10にルーキー3人
経験豊富な選手が5戦中3戦を制しているが、若手の選手たちの頑張りにも期待をしている。その筆頭は地元・台湾の戦いで2位に入ったウー・チャイエン。2戦目には4位タイ、そして注目された台湾戦で優勝争いと、昨年のプロテストに合格した選手の中ではトップの賞金ランキング5位につける。
「底力がある選手だと思います。ここまでの試合を見ていると、シーズンの最後には賞金女王争いをしているのではないかと思わせる雰囲気を感じます」。4月にはレギュラーツアーの「フジサンケイレディスクラシック」で2日目を終えて9位タイ(最終的には27位タイ)につけるなど、その実力は確か。「未勝利で賞金ランキング5位ですから、ここからさらに上げてきそうな感じがします」と飛躍も間近と言えるかもしれない。
賞金ランキングで見れば5位にチャイエン、7位に小林光希、9位に大須賀望とルーキー3人がトップ10内。そろそろ初優勝を見たいところだ。「ルーキーにとってみれば、試合転戦の大変さだけでなく、1週間の過ごし方も大事です。いろいろと整えて、何をすればベストな状態で初日を迎えられるのか、その経験値もできつつあると思います」。約1カ月空いてしまったが、ここまでの試合で上位進出に“必要”なものを学んできたルーキーの頑張りが、そろそろ実を結ぶことになるのか。
昨年は櫻井心那がルーキーイヤーで年間5勝というステップ新記録を樹立。圧倒的な強さで女王の座を射止めたが、その櫻井の1勝目は6月の1週目だった。「そう考えると、これからですよね。抜け出す選手が出ることを期待しています」とここからの展開を、中野も楽しみに待つ。
■ここから5連戦 まずは実力が試される難コース
経験豊富で好調な選手、台頭間近のルーキー、そして橋添や小滝といったニューヒロインたちが生まれてきた序盤戦を終えて、ツアーはここから5週連続の戦いに入る。その初戦となる今大会は、知る人ぞ知る難コースが舞台だ。
1999年には国内男子公式戦の「日本プロゴルフ選手権大会」が行われ、尾崎直道が優勝。2位にジャンボこと長男の将司、3位に次男の健夫が入り、史上初の兄弟ワン、ツー、スリーフィニッシュを達成した地。そのときのアンダーパーはこの3人だけという結果だった。
昨年大会も3日間を終えてアンダーパーはわずか6人。「レギュラーツアーに匹敵するコースです。実力がしっかりと出るコースだと思います」と過去に本大会のコースセッティングを担当したこともある中野の目から見てもタフなコースに仕上がるのは必至といえる。
「ここで上位に入って優勝争いできれば、自信になるでしょう」。ここからの5連戦は「易しくない」コースが続くため、ここでつまずくわけにはいかない。「ステップを卒業してレギュラーに行くんだという強い思いを持ち続けることが大事なんです。だからこそ、この試合にどう臨むかは注目しています」。コースに跳ね返されるのか、食らいついて上を見つめて結果を求めるのか。ランキングを上げる戦いが、いよいよ本格化するのは、今大会かもしれない。
解説:中野晶(なかの・あき)
1987年のプロテストに合格し、90年に賞金ランキング25位に入りシード権を獲得。以降、ツアー通算9勝。2000年には同ランキング2位に入った。現在はテレビ解説や日本女子プロゴルフ協会の大会コースセッティングも担当するなど、幅広く活躍を続けている。
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