国内女子ツアーは次から次と現れるスターの活躍で毎年盛り上がりを見せている。そんな隆盛を支えるのは、下部ツアーの存在があるからこそ。そのステップ・アップ・ツアーは、今季21試合中6試合が終了。5月の戦いで輝きを放った選手をおさらいする。
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■28歳が悲願成就 地元・佐賀へ錦
2015年に“単年登録”選手としてプロ転向。19年にはレギュラーツアーのシード選手として戦った権藤可恋が、「ツインフィールズレディース」(5月16~18日、石川県)で念願のプロ初優勝を飾った。
今年はステップ開幕から全試合で予選を通過。ツインフィールズレディース前週に台湾で行われた「CTBCレディス」では9位に入った。上り調子で石川大会を迎えていた。
初日はイーブンだったが、3日目に「69」をマークして2位に浮上。最終日にも1つ伸ばし、トータル4アンダーでガマン大会を制した。ウィニングパットを打つときは「ちょっと手が震えていたし、私も人間だなと思いました(笑)」。最後はダブルボギーを打って薄氷の勝利だったが、それもご愛敬だ。
地元・佐賀大会直前で初優勝。故郷に錦を飾ることができる。「佐賀の試合までに勝ちたいのがあったので、達成できて良かった。大会を盛り上げられるように、優勝争いに絡んでいきたい」。結果は9位で優勝こそ逃したが、上位争いで地元ファンを盛り上げた。可憐に咲く遅咲きの花になるために、一連の結果を飛躍のきっかけとしたい。
■手に汗握る同期対決 制したのは熊本の新鋭
佐賀での「地域みらいグル-プレディス佐嘉窓乃梅カップ」(5月23~25日)。2022年プロテスト合格の同期生による、手に汗握る激闘が繰り広げられた。
主役の一人が、鹿児島県出身の24歳・皆吉愛寿香だ。初日に「67」をマークすると、残り2日間も堅実に伸ばしてトータル10アンダー。最終日にトップへと浮上した。
もう一人が熊本出身の22歳・奥山純菜。こちらは最終日に「65」を叩き出して、皆吉と並ぶ首位にジャンプアップした。ともに勝てばステップ初V。プレーオフで同期対決が展開された。
プレーオフは2ホール目であっさりと決着がついた。皆吉がティショットをOBとすると、対する奥山はパーオンこそ逃したものの、アプローチをしっかりと寄せてパーセーブ。歓喜の瞬間を迎えた。
目標は「賞金ランキング1位、2位」に入り、来季のレギュラーツアー出場権を得ることだ。そのために「早く2勝目を挙げたい」と上を目指す気持ちは人一倍強い。「大きな声では言えないですけど…。アメリカツアーに行きたい。まだそこまでのレベルではないけど、子どもの頃から憧れているので、いつかは」。
レギュラーツアーで大活躍している竹田麗央が“ゴルフ大国・熊本”復権の急先鋒だが、この奥山も急成長を遂げているひとり。大きな夢を抱える22歳のこれからが楽しみだ。