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ホープを襲った極度の不振…「毎日“やめたい”としか思えなかった」 這い上がろうとする松田鈴英に戻りつつある笑顔

将来を期待されていたホープに笑顔が戻ってきた。松田鈴英、25歳。いまの心境に迫る。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2023年4月11日 09時00分

松田鈴英に笑顔が戻ってきた
松田鈴英に笑顔が戻ってきた (撮影:福田文平)

2017年に行われた日本女子プロゴルフ協会のプロテスト。勝みなみら“黄金世代”が初受験したこの年、注目されていた有望選手たちを抑えトップ合格を果たしたのが1学年上の松田鈴英だった。ツアー本格参戦初年度の18年には、いきなり賞金ランク11位になり初シードも獲得。優勝争いに何度も顔を出すなど、順風満帆なスタートを切ったホープは、現在、下部のステップ・アップ・ツアーを主戦場に再起へ向けた日々を過ごしている。

「今は朝起きるのが楽しみなんです。試合をすることがようやく楽しくなってきて。低レベルかもしれませんが、自分としてはそれがすごくうれしい。あとは必死に練習して、結果にこだわるレベルまでもっていきたいです」

今、コースでプレーする松田の表情には“ようやく”笑みも見えるようになった。しかし、ここに至るまでは、「(ゴルフが)つまらないというか、毎日『やめたい』としか思えなかった」という深い闇も経験。その要因になったのが極度の不振だった。

「ティショットとアプローチが怖くなってしまって。ドライバーはどこに飛んで行くか分からない。今までにはない感覚でした。毎週試合があるから修正できずにどんどん悪くなる…。そんなループにハマってしまった感じでした」

最初に違和感を覚えたのはアプローチだったと振り返る。そして、すぐさまドライバーも安定感を失った。初めてシード選手として臨んだ19年は、賞金ランクを32位まで落としながらも翌年の出場権を死守したものの、コロナ禍により統一シーズンとなった20-21年には賞金ランク94位、メルセデス・ランキング93位に終わりシードを喪失。「ここ3年くらいはゴルフ場に行くのが怖くて、やりたくないという気持ちがすごかった」。今季もQTランク123位からのスタートで、レギュラーツアーに出るには主催者推薦が必要という立場だ。

フェアウェイキープ率が56.139%(85位)とプロ転向後初めて6割を切った20ー21年シーズンのスタッツを見ると、それに伴ってパーオン率も悪化。18年には72.7881%で4位だったが、68.5102%の40位まで落ち込んだ。この状態でアプローチにも不安も抱えていれば、どうしてもスコアをまとめるのは困難になる。それでも今、明るい兆しを感じられるのは、ある人物との出会いがきっかけとなった。

「奥嶋さんに習ってから、やりたいことが見えてきた。そこに向かって頑張ることができているのがいいのかは分からないけど、また楽しくゴルフができるようになりました」

その奥嶋さんとは、奥嶋誠昭コーチのこと。これまでに稲見萌寧を東京五輪銀メダルや賞金女王(20ー21年)に導くなど、多くのプロを支えてきた人物だ。長年指導を受けていた黒宮幹仁コーチのもとを昨年5月に離れ、しばらくはひとりでスイング作りを行っていた松田。しかしこれに限界を感じると、YouTubeなども駆使し、いろいろな指導者の情報を収集し始めた。そして「一番分かりやすかった」という奥嶋氏にインスタグラムを使って自ら連絡し、昨年10月から指導を受け始めた。

今もスイングは改造の道半ばで、「理想」を追い求めてクラブを振る毎日を送る。「オフには仕上がってきたかなと思えたんですけど、やっぱり試合になると悪いクセも出てくるし、直すところも増えました。でも去年とはまったく違う気持ちで、前向きにゴルフができている」。昨年までは試合後のホテルでは、極力ゴルフのことを忘れようと動画を見るなど“スイッチをオフにして”時間を費やしていた。しかし、今は違う。「あの時は逃げていたんです。でも今は、ずっとゴルフのことを考えられるようになりました。『あしたはスイング面でこんなことに挑戦しようか』とか。(その変化は)大きいですね」。

2年ほど『つまらない』、『やめたい』と思う日々のなか、それでも松田がコースに立ち続けられたのは「優勝とか、何も目標を達成していない。やっぱりやめられないなって」というのが大きな理由にある。18年には平均248.01ヤードでドライビングディスタンス8位に入った飛ばし屋としても知られるが、その飛距離も戻ってきたという。「(推薦で出られるレギュラーツアーの)前半戦でリランキングを突破したい」という欲も芽生えるが、今は「一歩成長したと感じられる」とステップでの優勝を第一の目標に掲げている。

「ラウンド中に笑えるようになれました。自分でも『あれっ?』て思います。去年より成長できているのかな」

今年1月で25歳になったが、ゴルフとの向き合い方自体も以前にも増して真剣になってきているという。ここからもかつて輝きを放った舞台に一歩ずつ近づいていく。そして100%心から笑える日を迎える、そんな復活のドラマを期待したい。(文・間宮輝憲)

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