国内女子ツアーは次から次と現れるスターの活躍で毎年盛り上がりを見せている。そんな隆盛を支えるのは、下部ツアーの存在があるからこそ。そのステップ・アップ・ツアーは、今季21試合中3試合が終了。4月の戦いで輝きを放った選手をおさらいする。
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■20歳による大仕事 都玲華が史上6人目のアマチュアV
4月に最も話題を呼んだのが、都玲華(みやこ・れいか)による快挙だろう。愛媛県で行われた「大王海運レディス」で7年ぶりとなるアマチュア優勝を達成した。3日間のパーオン率は87.04%(47/54)で堂々の1位。後半に4バーディを奪って逃げ切る貫禄の勝利となった。
第四腰椎の疲労骨折などもあり、21年から挑戦しているプロテストは3度連続で失敗。今回の優勝で今年のプロテストは2次までが免除され、11月の最終からとなる。悲願のプロ入りを目指す20歳にとって、あまりにも大きな成果を得た3日間だった。
「今までの時間は無駄じゃない。少しは成長していると思う。これでコースで同い年のプロに会っても話しかけられるかな」
同年代には昨年4勝を挙げた桜井心那、今季絶好調の竹田麗央らがいる。プロ入りこそライバルに遅れをとったが、彼女たちがなしえていないアマ優勝という勲章を獲得。大きな自信を胸に、飛躍の時を迎えようとしている。
■新人初Vは誰の手に? 稲垣那奈子、菅楓華らが存在感
昨季のプロテストでは、21人が96期生としてプロの舞台に足を踏み入れた。多くの新人が下部ツアーから文字通りステップ・アップをもくろんでいるが、気になる現時点での成績はどうなっているのか。
明治安田ステップ・ランキング(賞金ランキング)を見ると、3人のルーキーがトップ10に名を連ねている。そのひとりが、ランキング2位につけるプラチナ世代の稲垣那奈子だ。
今季は3試合いずれも予選を通過。大王海運レディスでは都とデッドヒートを繰り広げて、単独2位に入った。早稲田大卒という女子ゴルフ界では珍しい経歴もあいまって、これからも注目を集めそうだ。
ランキング4位の高野愛姫はまだ19歳。埼玉栄高時代には、2つ上の先輩・岩井明愛、千怜ツインズらとともに腕を磨いた。プロデビュー戦となったステップ開幕戦「YANMAR HANASAKA Ladies Golf Tournament」では永嶋花音にプレーオフで敗れたものの、堂々の2位。ポテンシャルの高さを見せつけた。
ランキング5位の菅楓華も見逃せない。昨年のファイナルQTではスコア誤記による失格があり、QTランク104位で主戦場はステップに。だが、主催者推薦で出場したレギュラーツアー「Vポイント×ENEOS」で7位タイに入る鮮烈なデビューを飾ると、ステップでも3試合中2度のトップ10入り。新人初Vに最も近い存在と言っても過言では無い。
ステップ以外でも、昨年のQTを1位で突破した宋ガウン(韓国)はレギュラーツアー4試合で2度のトップ10入り。戦いの舞台を米国に移した馬場咲希は、LPGA下部のエプソンツアーで奮闘している。プロテスト1位通過の清本美波はまだ調子が上がっていないが、将来を嘱望される18歳だ。
逸材ぞろいの96期生。誰が初の勝ち星を挙げてもおかしくない。国内・国外にかかわらず、奮起するルーキーたちの活躍も今後のステップを語る上で欠かせないポイントだ。
■5月は台湾共催試合で幕開け…見どころは?
9日(木)から開催される台湾との共催試合「CTBCレディス」が5月の初戦となる。“敵地”台湾に乗り込む日本勢の活躍に期待がかかる。
海外勢は強力なラインナップだ。レギュラーツアー優勝経験者のフェービー・ヤオ、サイ・ペイインやルーキーのベイブ・リュウらは地元Vの期待を受けて、日本勢を待ち受ける。中国のセキ・ユウティン、ユウリ姉妹や、2023年の「アジア女子アマ」を制したエイラ・ガリツキー(タイ)も参戦。優勝を狙う上では、避けて通れない面々だ。
第1回大会の昨年は、黄金世代の小滝水音が台湾のウー・チャイェンを振り切って、ステップ初優勝。それを足がかりにして、2カ月後の「大東建託・いい部屋ネットレディス」でレギュラーツアー初優勝を飾ったのは記憶に新しい。今年も台湾でニューヒロインが誕生するのか。目が離せない。