いよいよ女子ツアーが開幕！　人気のあるレギュラーツアーはもちろん、最近はステップ・アップ・ツアーも注目度が高くなってきた。その見どころについて、スカイAで同ツアーを長年解説してきた藤井かすみに聞いた。

―2022年はステップ・アップ・ツアーで活躍していた選手が、レギュラーツアーに昇格して、すぐに優勝することも多かったですが、その要因は何でしょうか？

藤井　まずステップ・アップ・ツアーのレベルがすごく上がりました。昔のステップ・アップ・ツアーだと荒削りだったり、未完成の選手が多かったので、ステップ・アップ・ツアーで優勝してもレギュラーツアーに行くと予選を通過しないことも多かった。でも、今は予選通過どころか、優勝することもあります。その要因としてはショットやアプローチの技術はもちろんのこと、コースマネージメントやメンタル面も含めてプロゴルファーとしてのレベルが高くなった。だから、レギュラーツアーでも活躍できると思います。

―レベルが上がった要因は？

やっぱり宮里藍選手の影響は大きいでしょうね。藍ちゃんの活躍を見ていた親御さんが、子供にゴルフをやらせるようになったので、プロゴルファーを目指す選手の分母が大きくなりました。その分、強い選手が増えたと思います。昔はお金持ちの子供だけがやるようなイメージでしたが、最近は運動能力の高い選手が増えた印象もあります。年代としては黄金世代と言われる1998年生まれ以降の選手は明らかにレベルが上がりました。

―2023年に注目したい選手は？

まずは、昨年のプロテストに合格したルーキーですね。昨年は20名が合格しましたが、20名に残らなかった選手の中でも全国大会で実績のある強い選手がたくさんいました。その中で、上位20名に残った選手は誰が活躍してもおかしくないと思います。

―ルーキー以外の注目選手は？

ステップ・アップ・ツアーにはレギュラーツアーから落ちてきた選手もいます。そういう選手たちが、ステップ・アップ・ツアーで活躍して、ふたたびレギュラーツアーに復活するストーリーにもドラマがありますよね。

昨年の金田久美子選手は、まさにそのパターン。今はレギュラーツアーの飛距離が伸びてきたことで20代後半から30代の選手にとってはかなり厳しいツアーになってきました。だから、レギュラーツアーは20代前半の選手の割合が多くなっているのですが、ステップ・アップ・ツアーだとルーキーはもちろん、20代後半の選手、さらに30代のベテラン選手も色んな目標や想いを胸に頑張っているので、人間ドラマとしても面白い。プロゴルファーは何をキッカケに復調するかわかりません。だから、調子を落とした選手でもステップ・アップ・ツアーの活躍が自信になってセカンドチャンスをつかめる可能性は十分にあります。

―1年間を通したステップ・アップ・ツアーの楽しみ方は？

私の現役時代と違うのは試合数です。昔は5、6試合しかなかったのですが、2023年シーズンだと21試合もあって、レギュラーツアーと同じように1年間のツアーとして成立しています。だから、序盤戦ではルーキー選手の活躍やオフシーズンにスイングを調整した選手がどのような結果を出すのかに注目すると面白いでしょう。

中盤戦になると、複数回優勝する選手が出てきますし、ステップ・アップ・ツアーからレギュラーツアーに舞台を移す選手も出てくると思います。さらに終盤戦になると、賞金ランキング上位2選手は無条件で翌年のレギュラーツアーに昇格できるので、その争いにも注目です。

―昨年は櫻井心那選手が賞金ランク1位になりました

5勝を挙げたこともすごいですし、獲得賞金が2500万円を超えたことも驚きました。それだけ稼げるツアーになったということは、注目度とレベルが上がった証しだと思います。今年も春先はステップ・アップ・ツアーにいた選手が、秋には国内メジャーで優勝争いをしている可能性も十分あると思います。

藤井かすみ（ふじい・かすみ）
1967年生まれ、山口県出身。女子ツアー通算10勝をマークし、現在はスカイAでステップ・アップ・ツアーの解説者としても活躍している