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New タイトリスト プロV1・プロV1x、ゴルフボール“聖地巡礼”。圧倒的使用率の背景を探る旅

New タイトリスト プロV1・プロV1x、ゴルフボール“聖地巡礼”。圧倒的使用率の背景を探る旅

タイトリスト『プロV1』『プロV1x』の新作がいよいよ発売されます。プロトタイプの段階から世界中のツアープロが多数の勝利を重ねてきたこのボール、なぜNo.1なのか? ALBA本誌取材班がこの謎を探る旅に出ました。

配信日時:2019年2月14日 06時43分

PRO V1のVは、VENEER(重ねる)の頭文字。複数のレイヤー(層)を重ねて最高のボールを作るという意思を示した開発コードネームだった
PRO V1のVは、VENEER(重ねる)の頭文字。複数のレイヤー(層)を重ねて最高のボールを作るという意思を示した開発コードネームだった
そのニューボールが大きな注目を集めたのは、2018年11月のこと。しばらく低迷が続いていたチャールズ・ハウエル?(米国)が、米ツアー「RSMクラシック」初日に、フェアウェイキープ率、パーオン率ともに100%という快挙を達成したのだ。彼はタイトリスト『プロV1』プロトタイプに使用ボールを変えて2戦目だった。ALBA取材班は、このボールのことをいち早く知りたくなった。向かったのはタイトリストボールの本拠地、米国・マサチューセッツ州のフェアヘブンだ。

写真/J.J.Tanabe ※本特集に掲載したゴルフボールや素材は試作品(発表前に取材)

【第1章】ニュープロV1を知りたければ、タイトリストの“哲学”を知れ。

メリー・ルー・ボーン/タイトリストゴルフボール社長。ハンディキャップ/6.2。愛用ボール/PRO V1

メリー・ルー・ボーン/タイトリストゴルフボール社長。ハンディキャップ/6.2。愛用ボール/PRO V1

 ご存知の通り、今やタイトリストはゴルフクラブのシェアも高い総合ブランドだが、ここではあえて“ボールメーカー”と記したい。なぜなら、そうしたくなるほどタイトリストブランドの根底には“最高のゴルフボールを作る”という想いが脈々と受け継がれているからだ。我々は話題のニュー『プロV1・プロV1x』について話を聞くべく、同社のボール事業責任者で社長を務める、メリー・ルー・ボーンに話を聞いた。
フィル・ヤング/アクシネットカンパニー創設者。タイトリストゴルフボールの生みの親

フィル・ヤング/アクシネットカンパニー創設者。タイトリストゴルフボールの生みの親

「新しいゴルフボールについて知りたいのなら、まず我々がなぜここでゴルフボールの製造を始めたのか、そのことから知るべきですね。

すでにご存知かもしれませんが、我々のボール事業はこの地に住んでいたフィル・ヤングという一人の男から始まったものです。彼は浴槽のゴム栓などを加工する会社を経営していましたが、ある時、ゴルフ中にふとした疑問を抱きました。

“今のパットは完璧だったはずなのに、なぜ変な転がりをしたのだろう? このゴルフボールがおかしいのではないか”と。彼は友人の歯科医にそのボールのレントゲン写真を撮るように頼みます。すると、そのゴルフボールの芯はセンターになかったばかりか、円形でもなかったのです。
1935年に発売された最初のゴルフボール「タイトリスト」。

1935年に発売された最初のゴルフボール「タイトリスト」。

ゴルファーなら誰もが知っている有名ブランドの高級ボールがこの有り様では、真剣にゴルフに取り組んでいるプレーヤーが浮かばれない。

ならば、自分の手でもっと精密なゴルフボールを作ろう。そう決めたのが32年のことでした。その3年後に第1号ボールが完成、発売されます。そのボールの名前が“TITLEIST(タイトリスト/「タイトル保持者」の意)”だったのです」(メリー・ルー・ボーン)

創業から87年経った今でも、絶対的な“精度”を追求。

For Your Protection !(あなたを守るために!)と題されたタイトリストボール最初の広告。上段にはタイトリストボール、下段には他社の従来ボールのレントゲン写真を掲載。

For Your Protection !(あなたを守るために!)と題されたタイトリストボール最初の広告。上段にはタイトリストボール、下段には他社の従来ボールのレントゲン写真を掲載。

 1935年、フィル・ヤングが宣伝に使用した第1号ボールの広告には、ゴルフボールのレントゲン写真が並んでいた。黒く写ったのはボールの芯に当たるコア。下段に配された従来のゴルフボールは、コアが大きく歪み、球体のテイをなしていない。一方、ヤングの作った“TITLEIST”(上段)は、球体のコアがしっかりと、センター付近に配されていた。

「糸ゴムを中身が液状になったコアに巻きつけていくのが、当時のゴルフボールの製法でしたが、強くゴムを巻けば巻くほどコアはその圧力で潰され歪みました。そこでヤングはコアをあらかじめ冷却し、固形化することで糸ゴムを強く巻きつけてもコアが変形しない製法を考え出したのです。この独自製法の確かさを証明したのもレントゲン写真でした。一目見れば誰もがわかる従来品との精度の違い。これこそがタイトリストの原点であり、2019年の現在、ニュー『プロV1・プロV1x』の開発においても求め続けている最重要課題なのです」(メリー・ルー・ボーン)

 ラウンド中に大きく曲がったドライバーショット、あるいは転がりの悪かったパットの原因が、使っているゴルフボールの精度不足にあったとしたら、読者の皆さんはどう思うだろうか。その説明は当時のゴルファーの度肝を抜いたが、実はハイテクでならす現代でもそうした問題は少なからずあるのだ、とメリー・ルー・ボーンは指摘する。だからこそタイトリストは87年もの間、均一で最高のパフォーマンスを持ったゴルフボールを量産するために、独自の技術を開発しモデルチェンジを重ねてきたというのである。

「もう一度いいます。ゴルフボールが精密であること、均一であることは決して当たり前ではないのです。それは昔話ではありません。現在もそうなのです」。メリー・ルー・ボーンは諭すように、高い製造精度こそタイトリストボールの優位性なのだと繰り返した。それがすなわち、お目当てのニュー『プロV1・プロV1x』とは何かの答え。変わることのない核心部である、と。

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