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『クロム ソフト』シリーズに第3の『X LS』登場。ドライバーを飛ばしたいけど曲がる人、必見!

『クロム ソフト』シリーズに第3の『X LS』登場。ドライバーを飛ばしたいけど曲がる人、必見!

大抵のゴルファーは、No.1ブランドにしか興味がないもの。でも、ずっと用品業界を見続ける筆者は違います。性能にしか興味がないですし、守る必要がないメーカーって、面白い!

配信日時:2021年4月7日 17時30分

ツアーボールに【第3】ブーム!?

米国タイトリストの『プロV1x レフトダッシュ』(右下)、アイアンで高スピンなスリクソン『Z-STAR ◆』(右上)に続き、キャロウェイも低スピンな『クロム ソフト X LS』を発表!

米国タイトリストの『プロV1x レフトダッシュ』(右下)、アイアンで高スピンなスリクソン『Z-STAR ◆』(右上)に続き、キャロウェイも低スピンな『クロム ソフト X LS』を発表!

ツアーボールは黒と赤の2種類展開が相場だが、プロトタイプボールの製品化が進んでいる。タイトリストにも『プロV1x レフトダッシュ』なる低スピン化されたものが米国には2019年から存在するし、今年になってダンロップスリクソン『Z-STAR ◆』なるアイアンで高スピン化を図った第3のツアーボールを発売。そうこうしていると、キャロウェイから『クロム ソフト X LS』なる低スピンなツアーボールが発表された。

いずれもシルバーのダース箱。筆者が注目するのは、もちろん【低スピン化が図れるほう】である。理由は、手っ取り早く飛距離と直進性をお金で買える確率が高くなるからだ。


ウレタンカバーのツアーボールという位置づけゆえ、どうしてもプロの動向は気になるところ。では、新しい『クロム ソフト X LS』はプロたちが使っているのか? と言えば、まだそこまで多くはない。直近のコーンフューリーツアーで、アダム・スヴェンソンが優勝した際に同ボールを使用。また、PGAツアーでは、ダニー・ウィレットとマーク・リーシュマンの2人が切り替えた。

その他のプロが替えないのはなぜか? 理由を想像するなら、ノーマルの現行機種である『クロム ソフト X』の性能が高いからだと思う。PGAツアー選手から女子プロまで、ヘッドスピードもかなり違うはずだが、ほぼ全てのキャロウェイスタッフプレーヤーがこのボールを選んでいる。特に、他社ボールとの違いを最も実感しているであろう、ジョン・ラームの話を聞いてみることにしよう。

ラーム「ロングゲームで持ちこたえられる」

今年からキャロウェイ契約となったジョン・ラーム。クラブとボールを同時に替えるのはかなりのリスクと見られていましたが、すんなりと『クロム ソフト X』ボールへ移行できたそう

今年からキャロウェイ契約となったジョン・ラーム。クラブとボールを同時に替えるのはかなりのリスクと見られていましたが、すんなりと『クロム ソフト X』ボールへ移行できたそう (撮影:GettyImages)

下記は、米国キャロウェイのスタッフとラームのやり取りだ。

――ボールについて話したいのですが、あなたが『クロム ソフト X』に切り替えたとき、私が本当に興味をそそられたのは、このボールに素早く切り替えられたことでした。

「このボールについて学んだことの一つは、過去に使用したものと比較して【ロングゲームでも持ちこたえられる】こと。そして、特に8Iや9Iなどの短いショットでは、思ったほど風の影響を受けない。(ハワイの開幕戦)カパルアでプレーしていた時、私もキャディのアダムもショットを打っている時に、予想より風に流されなかったことに気づきました。

あと、30〜40ヤードで56°を打った時に低めに出ていて、スピン量が多くて大好きな球が出ました。私はかなり長い間56°を替えていないのにこのショットがまだ出せます。久しぶりに新しいウェッジを入れたら、それはとても簡単なことですが、この方法でもまだ持ちこたえていますね」(ジョン・ラーム)
使い込んだ56°なのに3、40yのアプローチが止まるそう。普通、この距離はスピンがかかりづらいですよね……

使い込んだ56°なのに3、40yのアプローチが止まるそう。普通、この距離はスピンがかかりづらいですよね…… (撮影:GettyImages)

――ボールを選ぶ時、あなたはグリーンから逆算して選ぶのか、それともティショットのデータを見て選ぶのか、その辺りはどうでしょうか?

「ボールを決める前に少し試してみましたが、ロングショットの方が気にいりました。でも、グリーン周りではできることが限られているので、特定のショットを打ち始めたときに、これはいいなと思いました」(同)

ラームの今季の平均飛距離は、計測ホールが306.1ヤード(昨年307.6ヤード)、ALL DRIVEが300.7ヤード(昨年301.8ヤード)。高地で長いクラブが18%近く距離の出る「メキシコ選手権」のスタッツが昨年は含まれていることを考えると、飛距離は『TP5x』の時と同等と考えていいだろう。

筆者に現行『クロム ソフト X』のデータがない理由

右が2018年の『クロム ソフト X』、左が現行の2020年モデル。「グラフェン」は入っていません

右が2018年の『クロム ソフト X』、左が現行の2020年モデル。「グラフェン」は入っていません

ところで、「グラフェン」という高分子素材を覚えているだろうか。軽量かつ、強度の高いこの素材は、前作の2018年モデルの『クロム ソフト』シリーズの2層目のコアに採用されたのだが、今作の『クロム ソフト X』には入っていない。

グラフェンが入ることで前作『クロム ソフト X』の反発は高くなったが、同時に打感が硬くなったと感じる人がいたのも事実。キャロウェイは、2020年の今作『クロム ソフト』発売前にマサチューセッツ州チコピーにあるボール工場に大きく設備投資。グラフェンの採用をやめ、製法上難のあるデュアルコアから、センターコアを極大化することでこの問題を解決した。

が、販売当初はモノがとにかくなかった。当初は生産上の歩留まりが非常に悪く、メディア担当者にも試打ボールすら供給できない状況だったから、正直に言えばこのボールに関しては筆者もほぼノーマークに近い。ただ、2018年の前作『クロム ソフト X』から競合他社品に対する初速性能が抜きん出ていたことは事実。(『TP5x』と双璧をなす飛び)
チコピーのボール工場に大きな設備投資をし、2020年の『クロムソフト』シリーズからコアを極大化しています

チコピーのボール工場に大きな設備投資をし、2020年の『クロムソフト』シリーズからコアを極大化しています

この経験から、ボール売上が1位ではないキャロウェイに期待してしまう個人的な想いは強い。クラブ開発に採用される「AI」にしろ、高分子素材「グラフェン」にしろ、とにかくエンジニアが攻めていて、新素材開発をやめない姿勢が心強い。特にボールに関しては守りに入る必要がないため、いい意味で製品が尖っていると感じるのだ。

今回の『クロム ソフト X LS』も、必要性はどうあれ、同様の図式から生み出されたはず。そこで、極めて高いインパクト条件を作ってもらうべく、海老原秀聡プロに『クロム ソフト』『クロム ソフト X』『クロム ソフト X LS』を打って性能を確かめてもらうことにした。

海老原プロ「1Wで左に行かず低スピン」

ドライバーのテストデータ。HS45m/sで最も飛ぶのは『クロム ソフト X LS』でした!

ドライバーのテストデータ。HS45m/sで最も飛ぶのは『クロム ソフト X LS』でした!

まずは、ドライバーショットから。ヘッドスピード50m/s以上の海老原プロが45m/sに押さえて打つと、上記のように『クロム ソフト X LS』が最も低スピンで、シリーズ中最も飛距離が出る結果になった。

「左に行きづらいというか、『クロム ソフト X LS』は、シリーズの中で最もインパクトの手応えが強く、勢いよく飛び出したボールが低スピンのままグングン伸びていきますね。速く振っても左に行かないので、パワーヒッターが安心して叩けるのも特長です。柔らかさを追求した『クロム ソフト』、コントロール性能に優れた『クロム ソフト X』に、強弾道で飛ばせる『クロム ソフト X LS』が加わって、あらゆるゴルファーに対応できるラインナップになったと感じますね」(海老原プロ)

新しい『クロム ソフト X LS』は、その名のとおり「L(LOW)S(SPIN)」の球で飛距離を追求されていた。プロの使用率が高く、コントロール性能に優れた『クロム ソフト X』と打ち比べると、ドライバーはスピン量が約200回転減少し、力強い弾道で飛距離が約5ヤード増を記録した。
キャリー50yのアプローチテスト結果。やはり、最もスピン量が多いのは、ラーム他、ツアープロが使用する『クロム ソフト X』!

キャリー50yのアプローチテスト結果。やはり、最もスピン量が多いのは、ラーム他、ツアープロが使用する『クロム ソフト X』!

また、上記のように、海老原プロのキャリー50ヤードのアプローチテストでも平均7782rpmと高いスピン性能を発揮。通常、ドライバーで低スピンならアプローチでもスピン量が減るのが常だが、そうはならなかった。

『クロム ソフト X』が平均7912rpmと最もスピン量が多かったが、一番ソフトな『クロム ソフト』の7383rpmよりも遥かに多く、明らかなツアー仕様だと言えるだろうか。ドライバーとアプローチで文字通り“飛んで止まる”を証明する結果となった。

HSの速い1W下手な人に最適!?

ドライバーが不安定なツアーボール使用者は必見!
止まらないディスタンス系で妥協する必要は、もう、ありません
ドライバーのムダなスピンだけ抑えてくれる『クロム ソフト X LS』
2打目以降は、ツアーボールらしく「止まる」をキープ
もちろん、アプローチも『クロム ソフト X』に近い止まり方!
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ドライバーが不安定なツアーボール使用者は必見!
どうして、こんなにパフォーマンスの高いボールなのに、契約プロたちの全員が投入しないのか。答えの一つは、世界最高峰のツアーで戦うプロゴルファーに、スピン過多で悩む選手が少ないこともあるだろう。その悩みを抱えている時点で、この舞台に立つのは難しいはず。

また、特にPGAツアーではキャリーを伸ばすため、低スピンになり過ぎることを嫌う傾向もある。そして、元々『EPIC MAX LS』や『EPIC SPEEDプロトタイプ』など、キャロウェイの新しいヘッドが十分に低スピン性能を持っているということも大きな理由の一つとして考えられる。
「低スピンに抑えたいけど、クロム ソフトだと柔らか過ぎる」。そんな人に理想の選択肢が加わります

「低スピンに抑えたいけど、クロム ソフトだと柔らか過ぎる」。そんな人に理想の選択肢が加わります

だが、アマチュアゴルファーは違う。筆者も含め、アプローチスピンが欲しいくせに、ドライバーはスピン過多で飛距離をロスする人はかなり多い。そして、腕力自慢の人にありがちなミスと言えば、ドライバーの力みによる左OBと右への吹け球の往復ビンタである。

自分ごとでお恥ずかしい話だが、インパクトが大荒れする人は、本来ウレタンカバーのツアーボールを使うこと自体が大敵となる。ムダなサイドスピンが入りやすく、曲がりが余計に増えるのだ。でも、スコアも出したいし、球も止めたいし、何よりドライバーは飛ばしたい。コースで溢れ出す欲に中々勝てないのがアマチュアである。そんな欲張りな人に最適なボールが『クロム ソフト X LS』に違いない。

Text/Mikiro Nagaoka

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