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松山英樹の偉業だけじゃない。注目すべき2021年6つの【ツアー・ギア・トレンド】

松山英樹の偉業だけじゃない。注目すべき2021年6つの【ツアー・ギア・トレンド】

コロナ禍でイレギュラーだったツアーも、2021年は観客以外、通常開幕。プロたちはどんなギアで好成績を出しているのか?早速、アジア人初のマスターズ覇者となった、松山英樹の使用ギアから見ていこう。(写真・GettyImages)

配信日時:2021年4月22日 07時00分

[1] アジア人初のマスターズ制覇!松山英樹の優勝ギア

早藤キャディは嬉しい初勝利となりました。また、コースへの敬意を示したエピソードも話題で、チーム・マツヤマが世界中に感動を届けました

早藤キャディは嬉しい初勝利となりました。また、コースへの敬意を示したエピソードも話題で、チーム・マツヤマが世界中に感動を届けました

アマ時代から10度目、20代最後の歳。松山英樹がアジア人初、もちろん日本人初の「マスターズ」制覇を達成! Tour Gear Trendを語る上で、これ以上の話題はないだろう。2017年以降は海外製のドライバー多数を使用してきた松山だが、昨年8月からドライバーもスリクソン『ZX5』で落ち着いた。

どうして契約メーカーのものを使用しないのか、様々な憶測を生んだが、それも過去の話し。上記が日本のゴルフ史に残る、松山英樹のマスターズ優勝セッティングだ。勝利を確信したカギとなるシーンに「18番のティショットがフェアウェイに行ったことが一番のキーポイントじゃないかなと思います」と優勝インタビューで挙げた。

これはつまり、ドライバーに厳し過ぎる目線を持つ男が、スリクソン製ドライバーの性能をついに認めた形】だと言えるだろう。優勝するなりセレモニーの前に、同社の宮野敏一さんに「このドライバーで良かったです。ありがとうございました」と電話で報告したとか。

今大会は初日からグリーンが固く、有力選手たちが早々に予選で姿を消していった。そんな例年に増して厳しい舞台でドライバーは長距離と安定の両立をはたし、固いグリーンも優れたショット力、リカバリー力で守りも手堅かった。「やっと日本人でもできることが分かったと思う」と、歴史の扉をこじ開ける光景に、日本中のゴルフファンが涙した。

[2] スピンを選べるキャロウェイ勢が幸せすぎ!

5位タイと健闘したマーク・リーシュマン。秘密兵器『クロム ソフト X LS』ボールを投入していました!

5位タイと健闘したマーク・リーシュマン。秘密兵器『クロム ソフト X LS』ボールを投入していました!

その松山英樹を猛追し、同組で3日目から最終日のフェアプレーでも話題になったザンダー・シャウフェレ。また、最終日「66」と大まくりで5位に入ったジョン・ラームやマーク・リーシュマンと、キャロウェイ勢の活躍が目立った今大会だが、使用ギアにも注目ポイントがあった。

それが、第3のツアーボールと呼べる、低スピンな『クロム ソフト X LS』だ。ウレタンカバーのツアーボールは通常2種類だが、キャロウェイだけ正規ラインナップに第3の『クロム ソフト X LS』を加え、3機種体制になった。フルショットのスピン量を『L(Low)S(Spin)』にしてくれるため、通常の『クロム ソフト X』よりスピン量を減らしたい選手には最適な選択肢となる。 

これに飛びつき、早速マスターズで投入していたのが、ダニー・ウィレットとマーク・リーシュマン。5位タイに入ったリーシュマンの今季の1Wスピン量は「2704rpm」と、ツアー平均より約200rpm多く、平均290.6y(163位)。ところが『クロム ソフト X LS』を投入した今大会は295.5yと伸ばし、サンドセーブ率も83%(全選手平均44%)を記録。ドライバーで低スピン、アプローチで高スピンという、“ズルい”ボールを成績に繋げていた。
松山英樹と同組でグッドショットを称えるナイスガイ、ザンダー・シャウフェレ。最終日「66」と大まくりのジョン・ラームなど、今大会はキャロウェイ勢の活躍が目立っていました

松山英樹と同組でグッドショットを称えるナイスガイ、ザンダー・シャウフェレ。最終日「66」と大まくりのジョン・ラームなど、今大会はキャロウェイ勢の活躍が目立っていました

かたや、今年からキャロウェイ契約となったジョン・ラームはじめ、ほとんどのPGA選手が愛用するのは初速とコントロール性に優れた『クロム ソフト X』だ。いかに有力プロであろうとも、ボールとクラブを一気に替えるのは、大きなリスクと昔から言われるが、昨年までテーラーメイド契約だったラームはその常識を覆した形。

「クロム ソフト Xはアプローチのスピンが多く、フルショットも風に強く持ちこたえてくれる」と、今大会ラームは最終日に大まくり。また、ザンダー・シャウフェレも16番で風を読み違えたものの、サンデーバックナインで松山英樹を脅かす怒涛の攻撃力を発揮。他のプロもほぼ全員が『EPIC SPEED』プロトとこのボールを組み合わせるなど、キャロウェイ勢の好調のベースにあると言える。

また、キャロウェイの場合、ボールでもドライバーヘッドでも【狙いのスピン量が選択次第ですぐ得られる】点が選手には大きい。通常、スピンが多すぎて困るのはドライバーくらいのものだが、『EPIC MAX LS』ドライバーという選択肢も有る上、『クロム ソフト X LS』ボールの選択肢もある。キャロウェイ勢だけ、恵まれた立場にあったのだ。
HSが速くない人にも最適な組み合わせが!

HSが速くない人にも最適な組み合わせが!

ここに加えて、アマチュア向きにはやさしさを追求した『EPIC MAX』ドライバーと、ソフトなのに初速が出せる『クロム ソフト』ボールの選択肢も。とにかく、幅広い選択肢から、自身が求める最適な戦力配置が可能になっている。

[3] 契約フリーのJ・ローズは未だに『TP5』!

初日、異次元の7アンダー発進を決めたのは、契約フリーのジャスティン・ローズでした。ボールは古巣の新『TP5』!

初日、異次元の7アンダー発進を決めたのは、契約フリーのジャスティン・ローズでした。ボールは古巣の新『TP5』!

2019年タイガー、2020年秋DJと、直近2大会のマスターズ覇者を生み出していたチーム・テーラーメイドだが、今大会はまさかのマキロイとDJが予選落ち。乾燥して固いグリーンにマスターたちが苦しむ中、初日7アンダー発進と異次元のゴルフを披露したのがジャスティン・ローズだった。

ローズといえば、2018年までの長きにわたりテーラーメイド契約だったが、現在は契約フリーで古巣の新作ボール『TP5』をマスターズで使用。ドライバーは飛んで曲がらず、面白いように固いグリーンでピタピタと止めていた。

ローズ同様、新『TP5』を使用するのはコリン・モリカワとマシュー・ウルフ。かたや新『TP5x』はマキロイ、ファウラー、フリートウッド。「ドライバーの『SIM2』と組み合わせるとぶっちぎりの性能を発揮する」とはメーカー談だが、そうではない(M1 440使用の)ローズも好結果だった。

新しい『TP5』は、もちろん、独自の5層構造。前作のソフト&スピンはそのままにコアを大きくして初速を引き上げ、よりドライバーの飛距離性能を強化した。また、『TP5x』ももちろん、独自の5層構造。前作の飛距離性能はそのままに、ショートゲームのスピン増。新ディンプルでキャリーも伸ばせる。

[4] 女子プロ “も” 『ベンタス』激増!

『ベンタス』が流行るのは、PGAツアーだけじゃありません! 【5S】の『ブルー』『ブラック』を選ぶ女子プロたちが続々……

『ベンタス』が流行るのは、PGAツアーだけじゃありません! 【5S】の『ブルー』『ブラック』を選ぶ女子プロたちが続々……

『ブラック』も『ブルー』もほぼ同数で、PGAツアー使用率No.1を継続するフジクラ『ベンタス』シリーズ。この人気はバケモノのような飛ばし屋たちだけの話でなく、女子プロたちにも人気が急拡大している。

松山英樹の偉業の遡ること1週前、「オーガスタナショナル女子アマ」で優勝した梶谷翼。この快挙を支えたのは、岡山の先輩・渋野日向子と同じドライバーシャフト、フジクラ『ベンタス ブルー』だ。その他、上記選手以外にも、福山恵梨や但馬友、森井あやめが『ブルー』の5Sを使用する。

『ベンタス』と言えば、PGAツアー使用率の高さから「アマチュアにはハードなのでは?」と見る向きもあるが、この人気は振れる人だけのものではない。【フレックス選択次第でパワーに関係なく誰もが選べる】点をここへ来て女子プロが証明している。そして、やはり人気の本質は、両機種共通の先端剛性の高い「ベロコアテクノロジー」になるだろう。

しなり量は『ブルー』の方が多めで、『ブラック』はより振れる人向けだが、基本芯を外してもヘッドの暴れを抑え込める。フジクラと言えば、これまで『スピーダーエボリューション』など走るもの中心に女子プロの圧倒的な人気を獲得してきたが、粘って暴れない青黒『ベンタス』の登場で、さらに死角がなくなった。

[5] 契約フリー⇒HONMA=笑顔!?

【契約フリー】で有名だった2人が、HONMA契約に!そして、2人とも笑顔です!

【契約フリー】で有名だった2人が、HONMA契約に!そして、2人とも笑顔です!

長年クラブ契約フリーだった葭葉ルミと成田美寿々が今年からホンマと電撃契約! 2人とも豪快なドライバーショットが持ち味だが、『GS』でさらに磨きがかかったの!? 特に成田は昨季の不調がウソのようである。

昨季までずっと契約フリーだった成田美寿々。コロナ禍の影響もあったのか、昨年の序盤戦は極度の不振に……。ところが、終盤から契約フリーのまま、HONMAのドライバー、アイアンを使用してから復調。同様に契約フリーだった葭葉ルミも昨年終盤から使用し始め、今年晴れて2人はチームHONMA入りとなった。
それぞれが語るとおり、「WOW!」と驚くほどカンタンな『GS』ドライバーを軸に復調を見せる成田美寿々。その他のプロも『GS』の性能を実感するのはコメント通り。『GS』は、日米合作デザインで構えやすく、「クランクスリット」や「ラジアルフェース」でボール初速アップと適度なドローバイアスも特徴。シャフト次第で男女プロからアマまで幅広く結果を出せるのがウリである。

プロ、アマ使用した人から口々に言われることは、「カンタンにドローが打てる」点と、高打ち出し・低スピンで「+10y」がカンタンに実現できること。クラブにうるさい元契約フリーの2人が言うとなると、説得力が段違い!?

[6] 契約フリー女子に人気。『JPX921』がアツい!

原英莉花は『JPX921』のうち、2つのやさしい【クロモリ】アイアンで揺れている!?

原英莉花は『JPX921』のうち、2つのやさしい【クロモリ】アイアンで揺れている!?

ミズノの看板娘と言えば『JPX921ホットメタル』を使用してきた原英莉花だが、今年の女子ツアーでは契約フリー選手の多くが『JPX921』シリーズへ移行している。女子プロに大人気となる理由はどこにあるのだろうか。

契約フリーの藤田さいき、ミズノ契約プロの原英莉花、西郷真央がクロモリ鍛造の『JPX921 フォージド』を4月頭の時点で使用している。原は海外参戦を目論んで『フォージド』を選んだものの、昨年メジャー連勝したJPX921ホットメタル』のやさしさも捨てがたい状況だとか。
海外のジェイソン・デイ含め、契約フリー選手たちは軟鉄鍛造の『JPX921ツアー』が多数派。だが、軽量で強度が高く【反発を高められる】クロモリ素材の魅力はそれを上回るのか、原は我々アマ同様にミスにやさしい2機種を中心にアイアンを選んでいた。

JPX921』シリーズ内で女子プロ好みのアイアンが最適に選べるため、今後も『Mizuno Pro』を含めた契約フリーのミズノ使用者が一層増えそうな気配が漂っている。

Text/Mikiro Nagaoka

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