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    谷口拓也 & 一ノ瀬優希、夫婦で意見が真っ二つ? 「スピーダーNXは、やさしいベンタス」なのか

    世界のツアーで【ベンタス旋風】が吹き荒れる最中、フジクラから新ブランド『スピーダーNX』(以下、NX)が発表された。永峰咲希が「やさしいベンタス」と評した『NX』はどんなシャフトか、フジクラユーザーの夫婦喧嘩が勃発!?

    配信日時:2021年9月9日 04時00分

    • ギア
    目次 / index
    • 6月頭のツアー投入から、またたく間に女子プロたちが『NX』へスイッチ!(GettyImages)
    • 子育て中でツアーの第一線から離れている人の球とは思えませんでした……。
    • 剛性分布という、従来の設計が新次元に!トルクの部分制御で、振りやすい中調子の動きがコントロールされています!
    • 動作解析『GEARS』の親玉のような存在、フジクラ独自の『enso』で、膨大なスイングデータを分析!
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    特性の違うシャフト使用者たちが、み〜んな『NX』って何故?

    6月頭のツアー投入から、またたく間に女子プロたちが『NX』へスイッチ!(GettyImages)

    6月頭のツアー投入から、またたく間に女子プロたちが『NX』へスイッチ!(GettyImages)

    PGAツアーの2020−21シーズンが終了したが、今年は既報の通り【ベンタス旋風】が印象的だった。昨年ローリー・マキロイが『ベンタスBK』に替えたこともあり、年初から『ベンタスブルー/ブラック』の使用者が激増。その流れは国内男子ツアーのみならず、国内女子ツアーにも広がり、女子プロですら『ベンタス』ユーザーが増えていた。

    ところが、だ。6月頭に新ブランド『スピーダーNX』がツアー投入されてから、いま女子ツアーでは異変が。【ベンタス旋風】ならぬ、【NX巨大台風】、いや【NXブラックホール】と言うと大げさか。まずは、下記の『NX』へ移行した選手が使用していたシャフトを見てほしい。

    ●テレサ・ルー(Tour AD HD)●ペ・ソンウ(Tour AD GP)●原江里菜(ディアマナTBやPD)●ペ・ヒギョン(ベンタスブラック)●渋野日向子(ベンタスブルー)●永峰咲希(ベンタスブルー)●篠原まりあ(ベンタスブルー)●吉本ここね(デイトナスピーダー)●野澤真央(エボ7)●川満陽香理(エボ7)●セキ・ユウティン(エボ6)●松田鈴英(エボ5)●三ヶ島かな(エボ5)●大出瑞月(エボ5)●松森彩夏(エボ5)●イナリ(エボ4)●竹内美雪(エボ4)●西村優菜(エボ3)
    ご覧の通り、『ベンタスブルー/ブラック』ユーザーだけでなく、『スピーダーエボリューション』の『3』『4』『5』『6』『7』と、それぞれ全く異なる特性のシャフトを使っていた選手たち。なぜ『NX』たった1つに落ち着くのか? こんなことは、ギア好きの従来の常識では考えられない。

    何が起きているのか? を調べるため、『NX』の第一印象を「やさしいベンタス」と例えた、永峰咲希の言葉をヒントにすることにした。『エボ4』を長く愛用する一ノ瀬優希と、『ベンタスブラック』を愛用する谷口拓也のフジクラ愛用夫婦をコースへ呼び、【NXはやさしいベンタスなのか?】を徹底チェックしてもらった。

    女子プロが即使う理由に納得!【VTC】で妻・一ノ瀬がいきなり高打ち出しドロー

    子育て中でツアーの第一線から離れている人の球とは思えませんでした……。

    子育て中でツアーの第一線から離れている人の球とは思えませんでした……。

    見届け人は、シャフトに精通するクラブアナリストのマーク金井で、『NX』の新設計に心酔している。まず、『エボ4』を愛用する妻・一ノ瀬優希の高打ち出しストレートドローの連発に、夫・谷口拓也も驚きつつ、『NX』の謎が解けた。マーク金井がまず新設計「VTC」の “切り返し” に舌を巻く。

    「適度に手元のトルクが締まっているけど、タイミングの取りやすい中調子だから、誰でもヘッドスピードやミート率を出しやすいと思います。自分の持っている馬力100の内、95以上を再現できるから飛ぶというか、安定の『ベンタス』に走りをプラスしたという感じ。女子プロのヘッドスピード帯だけ結果が出るのではなく、美味しいゾーンが『NX』は幅広い感じがしますよね」。
    剛性分布という、従来の設計が新次元に!トルクの部分制御で、振りやすい中調子の動きがコントロールされています!

    剛性分布という、従来の設計が新次元に!トルクの部分制御で、振りやすい中調子の動きがコントロールされています!

    新設計「VTC」とは、Variable Torque Core(ヴァリアブルトルクコア)の頭文字を取ったもの。従来のシャフト設計は、どこが硬いかの【剛性分布】のコントロールを中心としてきたが、フジクラは独自の3D動作解析『enso』でゴルファーの膨大な三次元のスイングサンプルを研究したとか。

    これにより、トルクを部分的に締めたり緩めたりすることで、狙い通りのインパクトの動きを再現できることに気づいた。今回の『NX』の剛性分布は振りやすいオーソドックスな中調子そのものだが、トルクは手元と先端を締め、自動的にアッパー軌道でつかまえる動きになるよう設計されていたのだ。

    マーク金井の【誰でもタイミングが取りやすい】という“切り返し”評に谷口も頷く。「同じ6Xですけど、切り返しのしなり量が『ベンタスBK』より遥かに大きく、間が取れてラク。一般にはハードと言われる『ベンタスBK』の6Xを使うボクでもビッグキャリーの真っすぐ(もっと左が来ると思った…)しか出ませんもん」。
    動作解析『GEARS』の親玉のような存在、フジクラ独自の『enso』で、膨大なスイングデータを分析!

    動作解析『GEARS』の親玉のような存在、フジクラ独自の『enso』で、膨大なスイングデータを分析!

    次に “インパクト” フィールを一ノ瀬が力説。「走るけど、先だけ開閉する動きじゃなく、つかまるけど左に行き過ぎない」。この意見に男性陣も激しく同意していた。

    「さすがフジクラというか、動作解析でトルクを部分制御したのは、高打ち出しかつ適度なドローになる動きを自動的に安定させるため。シャフトの使用歴、打ち方、フィーリングがここにいるみんな違うのに、初めて振って誰もが同じフィールを体感できるのは凄いですよね」(マーク金井)

    各重量帯、 どのスペックがベスト?


    今回の『NX』には、40g台から70g台まで幅広いスペックが用意されている。詳しくは動画を見てほしいが、HS40m/s弱で『エボ4』の569・SRがエースの一ノ瀬は、『NX』の50Sが気に入ったようだ。

    「エースは『エボ4』の569SRですが、『NX』なら50Sでちょうどいい感じ。スピンも1700回転でキャリーもランも両方伸ばせるストレードローしか出ません。 18ホールを考えるなら40Sもラクですが、50Sは当たり負けずに分厚く押せる感じ」(一ノ瀬)

    また、『ベンタスBK』の6Xを使う谷口は「70Xの方が締まって操作性もいいし初速は出るけど、オートマにアッパーに動く60Xの方がラクだし武器になると感じました。男子プロもかなり使うと思います」と話していた。
    また、63歳のマーク金井は自身の厳しい基準から、『NX』の50Sに合格点を出すと共に大喜び。「弾道計測器のトラックマンでボクの合格点は大体250〜255Y越え。『NX』の50Sだと、いきなり1発目が257Yで、2発目ですぐ大台の260Y越え。この齢(63歳)でコレはねぇ〜、ちょっと戦えるよ〜」(マーク金井)

    『NX』の主要スペックを試し終えた3人は、下記のように振り返っていた。

    間が取れ、誰でもOK。力まず方向性も◎

    マーク ご夫婦で『スピーダーNX』を試打してみて、どうでしたか?

    谷口 スピーダーという歴代走るモデルの新作なので、打つ前は「左もあるかな…」と想像してたんですけど、安定して曲がらないのが意外でした。1発目から最後まで、全く球がネジれなかった。

    一ノ瀬 私も同じで、つかまるけど、左に行き過ぎない感じでした。右にもすっぽ抜けが1球も出なかったですし、とにかくラクです。

    マーク そう、『エボ』の【奇数作は走り系】、【偶数作は叩ける系】だから、『エボ3』を長く使っていた西村優菜プロ、『エボ4』を長く使ってきた一ノ瀬プロ、どちらも『NX』にフィットするのが不思議ですよね。

    一ノ瀬 そうなんですよ〜。毎回スピーダーの新作を打つけど、結局『エボ4』から替えられなかったので今回すごく意外で。
    谷口 確かに。しかも、女子プロの『ベンタス』ユーザーでさえ『NX』に行ってますからね。「やさしいベンタス」の表現もあながち間違いじゃないのかも…。

    マーク ここにいる3人ともシャフト遍歴、スイング、フィーリングが全然違うのに、『NX』を打つとみな同じことを感じますよね。やっぱり【VTC】のトルク制御で、誰が打ってもかなり自動的な【インパクトの動き】になりやすい。剛性分布はタイミングの取りやすい中調子だから、誰でも【切り返しでタイミングが取りやすい】点が大きいかなと。

    谷口 ホント、『ベンタスBK』のボクと『エボ4』の優希ちゃんの両方が同じ『NX』なんて、今までなら考えられない。

    一ノ瀬 私もシャフトのストライクゾーンが狭いので意外です。
    マーク いやぁ〜、夫婦仲イイねぇ!!羨ましいよ、還暦過ぎたお爺さんは。とはいえ、最初谷口プロは70Xがイイだろうなと思っていたんですよ。ハードな『ベンタスBK』の6Xがエースなのに、まさか同じ60Xで大丈夫とはねぇ〜。

    谷口   ボクも意外でしたけど、『NX』の60Xは切り返し以降で、いつも同じ挙動になる。自分で操作するなら締まって重い70Xもいいですが、クラブの動きに任せて振りたい人なら全然同フレックスで行けますよ!

    マーク なるほど〜。考えてみれば今時の男子プロも60g台がメインですし、操作一辺倒じゃなく、クラブの動きに任せた方がミスが減ると考えるのも当然だよね。いやぁ〜、勉強になりました!

    取材協力・カメリアヒルズカントリークラブ
    撮影・山代厚男

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