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    スコッティ・キャメロン氏の新作に見る、3つの大きな考えの変化【記者の目】

    スコッティ・キャメロン氏の新作に見る、3つの大きな考えの変化【記者の目】

    配信日時:2019年7月2日 03時36分

    • ギア
    スコッティ・キャメロン『ファントムX』シリーズ。ヘッド形状は上記の5タイプで、ネックバリエーションで9種が選べる
    スコッティ・キャメロン『ファントムX』シリーズ。ヘッド形状は上記の5タイプで、ネックバリエーションで9種が選べる
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    アクシネットジャパンインクから、5月末にデビューしたスコッティ・キャメロン『ファントムX』シリーズについて、改めて説明があった。

    「これまで、スコッティ・キャメロン氏の手がけるマレットタイプは『フューチュラ』シリーズとして長く愛されてきましたが、今回はブランド名が『ファントムX』へと変わります。『ファントム』とは、マットブラックフィニッシュのカラーリングのことを元々キャメロン氏が呼んでいて、この黒い色には非常にこだわりがあります。この色が実現できなければ、製品化のGoサインは出せない!と言うほど、強いこだわりがあるものです。さらに、ヘッド設計の細部に渡るまで、これまでの『フューチュラ』シリーズとは異なる考えが反映されています」(同社広報)

    泣く子も黙る世界一のパターデザイナー、キャメロン氏の考えは、どのようにアップデートされたのか? それは、新作『ファントムX』シリーズの仕上がりを見ると顕著に分かる。

    【1】フェース高さが低くなった

    「ご覧のように、『ファントムX』シリーズはフェース高が低くなっているのが構えると分かると思います。これは、昨今のPGAツアープロ達による多くのリクエストから、フェース高さを抑えたと聞いています」(同)

    トップラインが強調されることのないマレット型では、フェース高さが抑えられたことで、地面にペタッと貼り付くようにヘッド全体が低く見える。視覚的に、アドレスした瞬間から、【地面とレベルに低く長く動かすイメージが湧きやすい】形状だと言えるだろうか。そして、これはマレットに限らず、PGAツアーに最新で投入されているブレード型のプロトタイプにも同様の考えが透けて見えるのは筆者だけだろうか。(パタートレンドが一変する兆しにも感じる…)

    【2】ヘッドがやや小ぶりの六角形に

    「今作から、すべてのヘッドが六角形の同サイズに統一されています。サイトラインを上手に活用されるゴルファーにとって、ファントムカラーの黒の中に浮かび上がるサイトラインが非常に効果を発揮しやすく、サイズも『フューチュラ』よりもやや小ぶりになりました。この点もキャメロン氏がツアーの要望を反映させました」(同)

    今作には9種のバリエーションがあるが、ヘッド形状は5タイプ。(ネック違いでバリエーションがある)そして、見え方やサイトラインなど、アドレス時にどの部分を見るか? によって、実に細やかなモデル分けとして設計されていることが分かる。「アドレス時の見え方でパターの成否は決まる」という、氏の考えは過去から一貫していると感じる。

    【3】フェースバランスに近づいた

    「これまでキャメロン氏の哲学から、フェースバランスのものより、重心がわずかに外れているものの方がコントロール性は高いという考えがありました。この部分も、ツアーの要望に合わせて、フェースバランスに近づけ、真っすぐ引いて真っすぐヘッドを出したいプレーヤーに合う設計となっています」(同)

    筆者自身、アンチフェースバランス派だった氏の考えを直接何度も聞いていたので、この部分は意外。だが、前例のないデザインを生み出し続けてきたアップデート主義なことも事実。より、使い手の要望に忠実に、フェースバランスのものを設計してくれるのは、ゴルファーにとっては有り難い限り!

    【その他】太グリップにベンドオプション、全てが新しい!

    専用ラバーグリップも一新され、若干太くなった。これが個人的に秀逸な出来で、左手部分の太さで、固定されるべき支点がビシッと決まる。アドレス時にフェースの向きを置いて決めた後は、握る際もとにかくそのフェース向きを0コンマ何ミリでさえ、絶対に変えたくないもの。新グリップは、握るだけでその向きが不変で、左腕とフェースの先までが一体化されたような安心感を覚えるのは気のせいか。

    このグリップと相まり、フェースが低くなって地面に沿うように低く・長く引きやすく、しかも慣性モーメントの大きなヘッドは極めてヘッド挙動が安定して感じる。当然、フェースバランスに近づいたことも、影響しているだろう。実績がありファンも多かった『フューチュラ』の名を捨て、『ファントムX』へと一新した理由がよく分かる。氏のアップデート、大歓迎なのは筆者だけではないはずだ。

    Text/Mikiro Nagaoka

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