第30回『ゴルフコースは自然破壊なの?』
ゴルフの秘密を多角的に探ってみましょう。
配信日時:2019年9月23日 06時00分
ゴルフを始めたときに、誰もが口にするのが「もっと早く始めれば良かった」というセリフです。ゴルフをしない人にとって、酸いも甘いも知り尽くした偉い人までゴルフに夢中になっているのは不思議なもので、ゴルフをしている人も夢中になりすぎて、ゴルフの魅力を説明できないという奇妙な現実もあります。ゴルフの秘密を探ってみましょう。
今回は、ゴルフコースは自然破壊なの? というお話です。
ゴルフ嫌いな人がその理由として挙げる中に、自然を破壊しているから、というものがあります。20世紀末に、ゴルフコースは自然破壊をしているというネガティブキャンペーンが日本中で起きていたのは事実です。実際に、農薬絡みの事故が起きて、被害補償問題などが報道されたことも何度もありました。
18ホールで、最低でも東京ドーム100個分の面積を使用するのがゴルフコースです。マンパワーで緑の芝生を維持するにしても広大すぎる面積ですから、農薬などの科学力を駆使して維持します。広いコースに散布されたものが、雨で一カ所に流れ出したりして濃縮してしまって、基準値を超えたり、下流域での養殖業などに被害が出てしまったりすることが、昔は起きてしまったのです。
日本のゴルフコースの9割以上がフェアウェイに高麗芝という芝種を使っています。高麗芝は、なんとイネの仲間なので、使用する農薬や肥料はお米作りで使用するものとほぼ同じなのです。現代では、情報交換と知識が蓄積されたので、農薬のトラブルはほぼなくなりました。使用する量も田んぼよりも少ないのが普通になりました。
今回は、ゴルフコースは自然破壊なの? というお話です。
ゴルフ嫌いな人がその理由として挙げる中に、自然を破壊しているから、というものがあります。20世紀末に、ゴルフコースは自然破壊をしているというネガティブキャンペーンが日本中で起きていたのは事実です。実際に、農薬絡みの事故が起きて、被害補償問題などが報道されたことも何度もありました。
18ホールで、最低でも東京ドーム100個分の面積を使用するのがゴルフコースです。マンパワーで緑の芝生を維持するにしても広大すぎる面積ですから、農薬などの科学力を駆使して維持します。広いコースに散布されたものが、雨で一カ所に流れ出したりして濃縮してしまって、基準値を超えたり、下流域での養殖業などに被害が出てしまったりすることが、昔は起きてしまったのです。
日本のゴルフコースの9割以上がフェアウェイに高麗芝という芝種を使っています。高麗芝は、なんとイネの仲間なので、使用する農薬や肥料はお米作りで使用するものとほぼ同じなのです。現代では、情報交換と知識が蓄積されたので、農薬のトラブルはほぼなくなりました。使用する量も田んぼよりも少ないのが普通になりました。
森林を切り開いていることが、自然破壊なのだ、という意見もありますが、これも全く的外れなのです。専門家に聞けばわかりますが、森や山は、人が手を入れずに放置しておくと、徐々に疲弊して荒れてしまうのです。秘境と呼ばれる場所は、自然環境として豊かとは言えないのです。
里山という言葉がありますが、山の麓に里山があり、適度に間伐などの手入れをすることで、豊かな自然を維持できるようになっていたのです。豊かな自然というのは、季節ごとに多様な植物が育ち、生態系に準じた生物が生きていける環境があることです。林業が衰退して、里山に人がいなくなって、山は荒れてしまったというのが昭和の歴史だったのです。絶滅してしまった植物や生物は膨大な数になります。
平成になって学術的な研究が進み、皮肉なことにゴルフコースが里山として機能していることが証明されました。ゴルフコースは里山と同じように、森に風を送り、日差しを入れ、植物にも生物にもやさしい場所になっていたのです。イノシシなどの害獣の被害分布とゴルフコースの密集度がリンクしてしまうのは、経済的には残念なことですが、自然破壊とは結びつかない証明でもあるのです。
今回はちょっと難しいテーマになってしまいました。
でも、ゴルフコースは自然と切っては切れない関係にあります。ゴルフの面白さの一部は、自然と触れ合うから生まれるのです。ボールを追いながら、季節を愛でて、風を感じて、自然と戯れるのが日本でするゴルフの素晴らしさです。
さて、ゴルフコースの芝生は何種類あるの? という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages
里山という言葉がありますが、山の麓に里山があり、適度に間伐などの手入れをすることで、豊かな自然を維持できるようになっていたのです。豊かな自然というのは、季節ごとに多様な植物が育ち、生態系に準じた生物が生きていける環境があることです。林業が衰退して、里山に人がいなくなって、山は荒れてしまったというのが昭和の歴史だったのです。絶滅してしまった植物や生物は膨大な数になります。
平成になって学術的な研究が進み、皮肉なことにゴルフコースが里山として機能していることが証明されました。ゴルフコースは里山と同じように、森に風を送り、日差しを入れ、植物にも生物にもやさしい場所になっていたのです。イノシシなどの害獣の被害分布とゴルフコースの密集度がリンクしてしまうのは、経済的には残念なことですが、自然破壊とは結びつかない証明でもあるのです。
今回はちょっと難しいテーマになってしまいました。
でも、ゴルフコースは自然と切っては切れない関係にあります。ゴルフの面白さの一部は、自然と触れ合うから生まれるのです。ボールを追いながら、季節を愛でて、風を感じて、自然と戯れるのが日本でするゴルフの素晴らしさです。
さて、ゴルフコースの芝生は何種類あるの? という話も面白いのですが…… それはまた、別のお話。
文・篠原嗣典/画像・GettyImages