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    上田桃子、吉田優利、渋野日向子らが実践 辻村明志「切り返しは左右なら『左』から、上下なら『下』から動け」【四の五の言わず振り氣れ】

    2007年の賞金女王・上田桃子を始め、吉田優利、渋野日向子らそうそうたるメンバーが集う「チーム辻村」。トップの目的は強い“ 台風の目”を作ること。それがダウンで生まれるパワーの源なのだ。捻転差とは、実は体を捻るスピード差。切り返し以降では腰より胸をゆっくり回そう!

    所属 ALBA Net編集部
    ALBA Net編集部 / ALBA Net

    配信日時:2024年5月17日 04時46分

    • レッスン
    • 上田桃子
    • 吉田優利
    • 渋野日向子
    Bが先に動いてしまうとアウトサイド・イン軌道になる。AとBが同時に動くと右肩が下がりあおり打ちになる
    Bが先に動いてしまうとアウトサイド・イン軌道になる。AとBが同時に動くと右肩が下がりあおり打ちになる
    • 「クラブを肩に担いで振ると、3倍ゆっくりと胸(胸椎)を回す動きが身に付きまる。竹竿のような長いモノを担いで行うとより効果があります」と辻村は語る
    • 左足は左に、手元は右に動く一瞬、左足と手元の距離が最大になる瞬間こそ、エネルギーが最大になる時。これを解放するのが切り返しの役割なのだ
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    2007年の賞金女王・上田桃子を始め、吉田優利、渋野日向子らそうそうたるメンバーが集う「チーム辻村」。トップの目的は強い“ 台風の目”を作ること。それがダウンで生まれるパワーの源なのだ。捻転差とは実は体を捻るスピード差。切り返し以降では腰より胸をゆっくり回そう!

    渋野は手元は右に置いたまま左足が先に動いていた!!

    ◇ ◇ ◇

    トップからの切り返しは、バックスイングの始動と並ぶスイングで難しい動きのひとつです。切り返しとは飛球線後方に向かった体とクラブのエネルギーを、今度は一気に飛球線へ、つまり方向転換する作業です。わずか0.2秒。まずは皆さんの多くが、切り返しでどんなミスをしているのかを考えてみましょう。

    ミスを考える上で挙げられるのが、動き出す体の順番です。ボクが選手によく言うのは、「切り返しは左右で言ったら左から、上下で言ったら下から」というシンプルなものです。トップの形を作ったら、体を上下左右に4分割して考えてみましょう(写真参照)。正面から見て右下をA、左上をBとします。つまり切り返しはAから始まり、それにつられる形でBが動き出すのが理想です。ところが、アマチュアの場合、Aが動き出すよりも先にBが動き出す、もしくはAとBが一緒に同方向に動き出すなどの傾向が見られます。

    Bから動き出すと、どのようなスイングになるでしょうか。ひとつは肩、腰、ヒザ……といった右サイドが前に出たスイングです。これがスライスの最大の原因でもある、アウトサイド・イン軌道です。Bからの動きにAがついていく、理想とは正反対の動きです。

    もうひとつはBだけが動いてAがまったく動かないと、ダウンの早い段階で体が伸び上がり、ヘソが空を向きます。これではダウンで右肩が下がり、ヘッドがアンダーに入るミスにつながってしまいます。切り返しの順番がAから始まり、それにつられる形でBが最後に動くことを理解してください。そして、切り返しはシンプルに「下から左から」と、心に刻んでください。

    次に重要で、また難しいのが切り返しの“タイミング”です。身に付けるためには、トップの意味と役割を理解しなければなりません。ボクが思うにトップのイメージは“台風の目”です。これが強力なほど、ダウンの強いパワーを生み出します。そして切り返しのタイミングは、トップでより強力な台風の目が生まれた瞬間だと覚えておいてください。

    荒川博先生(王貞治に一本足打法を指導し本塁打世界記録まで成長させた元巨人軍コーチ。辻村や上田桃子のゴルフの師匠でもある。2016年に死去)はよく「トップは傘を差すように」と言いました。雨に濡れてしまう傘の持ち方は「氣が抜けている」というわけです。ワキが締まりヒジが体につき、傘(クラブ)は体から外れず正面にある、という意味でしょう。

    野球でもゴルフでも、これがトップの基本です。ただ、ゴルフでは傘を持つポジションから、もう少し右後方に捻る必要があるとボクは考えています。ボールを打ち返す野球と違いゴルフの場合、傘を差すポジションでは十分なエネルギーが作れないからです。

    もちろんクラブを力任せに大きく後方に動かし、「氣を抜け」というのではありません。グリップが体の正面から外れず、氣を抜かずにエネルギーを最大にするコツがあります。それもやはり荒川先生の教えてくれた“割れ”という技術です。

    “割れ”とは、日本古来の武術などに伝わる体の使い方です。たとえば、ボクシングのパンチ。腕が伸びて威力を増したパンチを繰り出します。肩甲骨周りの筋肉を使って、背中が左右に“割れ”ることで、腕がそれ以上の長さで使えるのです。

    その“割れ”をゴルフのトップでは、どのように作るのでしょうか? いつもボクが選手たちに言い続けているのが、「切り返しから腰の回転スピードの3分の1を意識して、胸(胸椎)を回しなさい」というもの。3倍ゆっくりという意識を持つだけで、上半身の力が抜けます。力が抜けると、普段のトップからさらにグイッと右肩が回り、深いトップが作れます。

    この時、左肩が動かなければ、これが“割れ”になるのです。力任せに回すのでなく、力を抜いて3倍ゆっくり回すだけです。こうして生まれた腰と肩の捻転差が、ダウンでパワーを生む“台風の目”。捻転差が大きいほど、大型で非常に強い台風となるのです。

    さて、その練習方法としてチーム辻村では、竹竿のような長いモノを肩に担ぎ振らせています。肩に担ぐモノが長ければ長いほど、ゆっくり胸を回すしかないからです。ちなみにこのドリルは足が地面をつかんだ下半身リードが身に付くなど、さまざまな効果があることもつけ加えておきます。

    さて、本題の切り返しのタイミングですが、読者の皆さんならもう理解したことでしょう。体が割れて、いつもより深くなったトップが、さらに深くなろうとするその瞬間。下から左から、つまり4分割したAから切り返しが始まります。

    この時、4分割した写真で見るとAは左に、Bはまだ右に動く一瞬があります。AとBの距離が最大になる瞬間です。この瞬間こそが台風の目が最大最強となる、つまりトップで蓄えられたエネルギーが最大になる瞬間。そしてこれを解放するのが、切り返しです。「クラブは上げて下ろすだけ」といったレッスンがあります。切り返しで上下の捻転差を作りさえすれば、スイングが良くなることを示した、なるほど、究極の金言です。

    ■辻村明志
    つじむら・はるゆき/上田桃子、吉田優利、渋野日向子らを指導し、プロを目指すアマチュアも教えるプロコーチ。荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。1975年福岡生まれ。元(はじめ)ビルコート所属。

    ※『アルバトロス・ビュー』836号より抜粋し、加筆・修正しています

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     ●多少曲がってもいいから同組のライバルたちより1ヤードでも遠くに飛ばしたい。そんなアナタには関連記事【もう飛ばないなんて言わせない! レッスン大特集】がオススメ。ヘッドスピードの上げ方、効率のいい当て方が満載です。

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    辻村明志【四の五の言わず振り氣れ】

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