2年前、片山晋呉が驚いた川崎春花の“裏打ち”スイング「出力の出し方が日本で一番上手い」
片山晋呉が2年前のオフにスイングを目撃した日から、注目している女子プロがいるという。
配信日時:2024年9月3日 06時59分
今季シニアツアー5試合に出場して、優勝1回、2位2回、3位1回という安定感抜群の成績を並べている片山晋呉。レギュラーツアーで通算31勝を挙げた永久シード選手は、毎年オフに宮崎で合宿するのが恒例だが、2年前のフェニックスカントリークラブでスイングを目撃した日から、注目している女子プロがいるという。
「フェニックスにいたから『ちょっと撮らせて』と頼んで、スイングを撮らせてもらいました。ずっと撮っていましたね」。片山のスマホに入っているのは川崎春花のスイング動画。川崎は2022年にツアーデビューすると、同年の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」で初優勝、「マスターズGCレディース」で2勝目を挙げて、メルセデス・ランキング9位と一躍トップ選手の仲間入りを果たした。
しかし、翌23年は不調に陥り、32試合に出場して約半分の15試合で予選落ち。メルセデス・ランキングは48位まで下がった。そんな川崎に対して、「この子は伸びるだろうなと注目していて、自信さえつけばすごく行くだろうなって去年から言っていたんです」。臼井麗香のキャディを務めた6月の「アース・モンダミンカップ」では、「この中で一番センスがいいんだから」と川崎に直接声もかけていた。
そんな片山の激励が実ったのか、川崎は7月の「ミネベアミツミ レディス 北海道新聞カップ」で1年9カ月振りとなるツアー通算3勝目を挙げると、次戦の「大東建託・いい部屋ネットレディス」で2試合連続優勝。そのあと2試合の予選落ちを挟んで、「CAT Ladies」で今季3勝目を達成した。22年に記録した年間2勝を、わずか5試合であっさりと更新してしまった。
それにしても51歳の片山は、21歳のスイングのどこに惚れ込んだのか。
「下ろすときの出力の出し方が日本人では珍しくて、日本では一番上手い。あの子は振り子で動かさない。簡単にいうとクラブって振り子で動いているけど…」。そう言って、グリップエンドをつまんで、振り子のようにクラブを動かす。バックスイングとフォローのクラブの運動量は同じ程度。「それが外国人はこうやって力を出す」。そして、つまんだグリップエンドに反動をつけると、クラブは加速して一回転する。振り子のときはグリップエンドを左右に動かしているだけだが、上下に力を加えることでスピードが上がるのだ。
それは片山が今スイングに取り入れている動きでもある。練習場では手で握る部分がクランク状に取り付けられた練習器具を使い、切り返しで右手と左手の持ち手をひっくり返して下ろす動きを繰り返している。「バックフェースで打つっていうか…“裏打ち”という打ち方です。言葉では説明できない」。
片山は多くを語らないが、この動きが身長158センチと女子プロでは小柄ながら、平均243ヤード飛ばす川崎の飛距離につながっているようだ。確かに川崎の切り返し方は少し独特だ。トップで飛球線の右を指していたクラブを、切り返しで左に向きを変えてから下ろしていく。それでいて力感はあまり感じない。
「僕もこれに気付いて、ここ何年か飛ぶようになっている。あと古江彩佳さんもアメリカに行って裏打ちができるようになった。向こうのツアーを見て、日本の打ち方じゃダメって思ったんだろうね。松山英樹さんも完全にスイングが変わって、結果的に裏っぽくなった」。川崎だけでなく、ともに海外メジャーに勝っている古江彩佳と松山英樹も取り入れているらしい。
今週は川崎が2年前に初優勝した「ソニー 日本女子プロゴルフ選手権」。片山が絶賛する“裏打ち”スイングで大会2勝目、今季4勝目なるか。