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    第2回/ジャンプアップするとなぜ飛ぶ?(床反力打法の真実)

    元日本プロゴルフ協会A級ティーチングプロ、現在アメリカの日本食レストランチェーンCEO。異色の経歴を持つTOSHI HIRATAが30年のレッスン経験の集大成を語る。超DEEPな骨太スイング論をアメリカからお届け!

    配信日時:2017年2月15日 11時18分

    • レッスン
    目次 / index
    300ヤードを放つこともあるレキシー・トンプソン(撮影・福田文平)
    300ヤードを放つこともあるレキシー・トンプソン(撮影・福田文平)
    • 飛ばす必要のないウェッジなどのショットはジャンプアップしない
    • 00年のタイガーは躍動感ある下半身が印象的
    • 05年のタイガー。この時も左ヒザを伸ばす動きで飛ばしていた
    • 下半身を大きく使って飛距離を出すバッバ・ワトソン
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    ドライバーの飛距離アップに、腕力は関係ない!

    飛ばす必要のないウェッジなどのショットはジャンプアップしない

    飛ばす必要のないウェッジなどのショットはジャンプアップしない

     今回は、前回紹介した【ジャンプアップ】をもっと掘り下げて解説してみましょう。

     ジャンプアップとは、両足かかとがインパクトゾーンで浮くような動きで、ジュニア時代から筋力を補うために本能的に採り入れるものだと説明しました。そして、このツマ先立ちのジャンプアップは「劇薬」でもあると。

     暴力的な飛距離を手にする可能性はありますが、アキュラシー(方向性)や身体を痛めてしまうという問題に直面する人もいます。最終的にたどり着きたいのがジャンプアップというわけではありませんし、もちろん、ゴルフのパフォーマンスを上げることが目的です。ただ、皆さんが取り入れたことのない【ジャンプアップすると、なぜ飛ぶのか?】理由を知りたくありませんか?

     今年PGAツアーで2試合連続優勝したジャスティン・トーマス。そして、女性でも300ヤード近い飛距離を誇る、レキシー・トンプソン。2人とも、インパクトでは完全に両足かかとが浮き、ツマ先立ちのジャンプアップがスイングの大きな特長といえます。いずれもツアーきっての飛ばし屋ですよね。それでいて、成績も出している。もし、ただ飛ばすだけで曲がってばかりなら、こんなにも成績を出せるわけがないですよね?

     彼ら2人とも幼い頃からゴルフに親しんできました。そして、アメリカのジュニアゴルファーの大半がジャンプアップをします。まだ腕力がついていないジュニアゴルファーにとって、最も大きな力を生み出す事が出来るのが、下半身を利用したジャンプアップなのです。また、大人になってツアープロになってもジャンプアップするプレーヤーは数多く存在します。前回挙げたポーラ・クリーマー、ナタリー・ガルビス、バッバ・ワトソン、そしてタイガー・ウッズでさえ、数年前までジャンプアップしていました。最近は右足かかとの浮きが抑えられ、左足のジャンプアップも影を潜めてきましたが、マン振りすると若干この動きが入ります。

    【腕力がなくても、ジャンプアップすれば飛ばせる】

     この事実を絶対に見逃してはなりません。ジュニアゴルファーは本能的にこのことに気づくのです。そして、大人になって腕力を得てからゴルフを始めた人は、腕でクラブをいかようにも操作できるが故に、中々気付けないポイントだとも言えるのです。そして、今「飛ばなくなってきた」「筋力が落ちてきた」と嘆く人も、スイングメカニズムを変えれば補える可能性があるのです。

    頭の高さを保って、左ヒザを伸ばしてみよう!

     ツアープロだけではなく、ひたすら飛ばしを追求するナショナルドライビングコンテストの選手たちも、ほとんどがジャンプアップを行います。前回紹介した、私の息子クリスもこのジャンプアップの癖を持っていました。(それを強制するのに約1年かかったわけですが)

    「なぜジャンプアップすると飛距離アップできるのか?」

     さぁ、メカニズムを解説していきましょう! それには体感するのが一番です! それではクラブを手にしてアドレスしてみてください。まずは、しっかりと体感してもらいたいので、スローモーションでスイングしてください。ゆっくりとテークバックしていきましょう。室内であれば、シャドースイングでも構いません。下半身が捻れ、上体も捻れ、腕が高く上がった時点でダウンスイングを開始します。

     この時、バックスイングが完了すると同時に、ダウンスイングで曲がっていた左ヒザを真っすぐになるまで伸ばしてください。ここで気をつけなければならないのは、トップの位置からインパクトまで【頭の高さは絶対に変えない】こと。プロの場合はむしろ、ダウンスイングで頭が下がるくらいです。(なぜそうなるかは後日解説します)腕はまだ意識してはいけません。下半身の動きと頭の高さだけに集中してください!

     さて、左ヒザを真っすぐ伸ばすと何が起こりましたか? そうです! 腰(股関節)がそれに連動して切れていきますね。そして、スローモーションでこれを行うと、ダウンスイングで脇腹がピリピリしてものすごく辛い体勢ではありませんでしたか? 左ヒザを伸ばすと、腕は黙っていても付いてきたでしょう? これが上級者の行っている、【下半身先行のダウンスイング】なのです。本来は一瞬の動きですが、これほどまでに体がコイルされ、体に負荷がかかるのがプロのスイングなのです。だから飛距離が出るというわけ。ダウンスイングの過程で、いつもより右腰に張りを感じたなら正しく動作されています。

    下半身は“上下に”使う! たとえスイングが回旋動作でも

    00年のタイガーは躍動感ある下半身が印象的
    05年のタイガー。この時も左ヒザを伸ばす動きで飛ばしていた
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    00年のタイガーは躍動感ある下半身が印象的
     左ヒザが伸びきると、腰は完全に開いて(切れて)いきます。これまで皆さんは多くのレッスン書で聞いてきたフレーズから、【腰の開きが早すぎるとスライスの原因になる】と信じてきましたよね。このフレーズは頭から消し去ってください! 言葉で表現するのは非常に難しいのですが、「腰が開く」と「切れる」とでは表現が微妙に違います。そしてアドレスはインパクトの再現ではありません。

    【飛ばすなら、腰は切れるだけ切る!】

     これが飛距離アップのために、最も大切なポイントだといっても過言ではありません。(ここは誤解が生じやすいので、後日イラストで解説したいと思います)そして、不思議ではありませんか? 左ヒザを伸ばすという、上下の動きをしたはずなのに、結果、腰(股関節)はものすごく切れている。腰を回そう、開こうと自分では思っていなかったはずのに。

     スイングそのものは回旋運動(円運動)ですが、切り返しで左足を踏み込んだ後、ダウンスイングの途中から下半身の上方ベクトルを入れると、結果的に高速で腰(股関節)が切れ、回旋スピードが速くなるのです。しかし、多くのアマチュアの皆さんは、スイング=円運動をイメージし、下半身の上方ベクトルを全く使わず、上体の開放からダウンスイングを開始します。

    「???」  かなり複雑になってきましたよね?

    スイングは円運動。でも、ダウンスイングで下半身の上方ベクトルを使う

    下半身を大きく使って飛距離を出すバッバ・ワトソン

    下半身を大きく使って飛距離を出すバッバ・ワトソン

    【スイングは円運動、でも切り返し以降は下半身の上方ベクトルを使う】

     このフレーズをしっかりと頭に入れて欲しいのです。バッスイングを正しく行うと、両ヒザはアドレス時よりも深く曲がる。(右ヒザが伸びるプレーヤーも一部いますが、これはまた別の機会に説明します)曲がらなければ、あなたのスイングはトップで伸び上がっているということになります。腰や肩など身体が正しく捻転してコイルされると、下半身は下方へ動く。当たり前ですよね? スポンジなど、捻った方が上下に伸びる物体はないはずです。それを【強烈に戻す行為】が下半身の上方ベクトルなのだと理解してください。そして、これは人間の持っている筋肉群の中で最も強く瞬発力も出せるものなのです。

     当たり前と言えば当たり前の事なのですが、その事実に中々気づけずにいたのが私達凡人プレーヤーなのです。しかし、トッププロやジュニアプレーヤーはそれを自身が持っている感性の中で自然に行っていたのです。PGAツアーでプレーしているプロ達はゴルファー全体の0.01%以下の人達です。でも、今しっかりとこの事実を受け止めることが出来たなら、あなたのゴルフ人生は飛躍的に向上します。そして、いま一度、あなたに問いかけます。

    【逆立ちして両腕を曲げて、そこからジャンプできますか?】

     体操選手でもない限り、自身の体重を支えるのが関の山でしょう。でも、皆さんの両足は大抵の人なら、大なり小なりジャンプが出来るはずです。ところが、多くの方は「その筋肉をこれまでスイングに於いては、ほとんど使ってこなかった」のではないでしょうか? さあ!大臀筋(ハムストリングス)をスイングにもフル稼働しましょう! PGAツアープレーヤーの鍛え抜かれた大臀筋はそのためにあるのですから。

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