ゆっくり上げると引っ張れない!? 稲見萌寧は超高速バックスイングで“ズレ”を作る
稲見萌寧がボールを強く叩くために大事にしているのは「ズレ感」。その意味と練習法を紹介する。
配信日時:2024年3月18日 22時47分
稲見萌寧がボールを強く叩くために大事にしているのは「ズレ感」。クラブと体を同時に動かすのではなく、少しズラすことで、クラブと体を拮抗させてスピードを上げている。そのための効果的な練習法の1つが“超高速バックスイング”だ。
「私は悪いときは一枚の板みたいに全部動いちゃう。上手く動かせるとズレてくる。例えば切り返しでトップに行く前に、左がシュッと先に行くからズレができる。一瞬の動きだから目に見えて分かる動きは“ズレ”ではなく“ハズレ”です」
バックスイングでクラブと体が一緒に動くとズレは作れない。そのために行うのがフォローから速く上げて、肩の高さでピタッと止めるドリル。「ゆっくりやさしく上げるのではなく、切り返しからインパクトでスピードを上げるために、テークバックでも力感を出していく。ちょっとボールの先くらいのポジションから思いっきり振り上げて止める練習をしています。アドレスから上げると手で上げちゃうけど、フォローからだと体が使える」。
ズレ感やこの練習の効果について稲見のコーチを務める柳橋章徳氏にも聞いてみた。「クラブと体が一緒に回ってきたら、弓矢でいう引き合いがない。ズレ感がなくなっちゃうんです。このドリルはピタッと止めるのが重要で、フォローの形から勢いを出して上げたクラブを止めるためには、体は逆方向に力をかけないといけない。ズレて運動連鎖が生まれるんです」。
野球のピッチングのように足→腰→肩→ヒジ→手元→クラブの順番で、少しずつズラして引っ張ることで最大限のパワーを出しているのだ。
■稲見萌寧
いなみ・もね/1999年生まれ。東京都出身。東京五輪では銀メダリストにして、2020-21年シーズンの賞金女王。昨年11月、日米共催の「TOTOジャパンクラシック」で優勝し、その資格で今季から米国女子ツアーに参戦している
■柳橋章徳
やぎはし・あきのり/1985年生まれ。茨城県出身。名門・中央学院大学でレギュラーとして活躍し、その後ティーチングの道へ。昨年6月から稲見萌寧のコーチを務めている
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