「ホンダLPGAタイランド」の最終日に、1イーグル、10バーディ、1ボギーの圧巻のプレーでトーナメントコースレコード「61」をマークした岩井明愛。トータル27アンダーまで伸ばしたが、米国女子ツアー初優勝には1打及ばず単独2位フィニッシュとなった。「一緒に回った2人も良いプレーをしていた。互いに譲らない、めちゃくちゃ熱い戦いだった」と、初めての優勝争いを振り返った。
今大会では、初日に「62」で飛び出すと、2日目は「67」、3日目「71」、そして最終日は最終ホールでイーグルを奪うなど「61」を叩き出した。要所でのショートゲームの巧さが目立ったが、フェアウェイキープ率76.78%、271ヤードを記録したドライビングディスタンス、飛んで曲がらないドライバーショットも印象的だった。
そのスイングについて「昨季と大きくは変わっていないと思いますが、ダウンスイングで右足に粘りが出て、やや軌道がシャローになったように見える」というのはプロコーチの南秀樹。続けて、「ダウンスイングで両ヒザの間隔が変わらないので右肩が下がらず、インパクトでは左腕とシャフトが一直線に。それでいて、右ヒジにゆとりがあるので、フォローでボールを押し込んでいける」と飛ばしのポイントを挙げつつ、「理想的な入射角」がドライバーでの安定感、芝質を選ばずアイアンでもパフォーマンスを発揮できる要因だという。
理想的な入射角、つまり岩井のようなレベルブローに振るには、ドライバーでマットにソールを擦るのが練習になるという。「ハーフスイングでいいので、素振りでマットを擦ってみてください。薄め、長めで綺麗にソール全体がマットに擦れていればOKです」。フェース寄りしか擦れないならヘッドは上から、テール側が擦れるようならアオリ打ちになっていることが考えられる。
素振りで感覚がつかめてきたら低くティアップしたボールを打ってみよう。「ボールとヘッドが同じ高さになるようにティアップし、ティを打っても構わないので素振りのときのイメージのまま、ソールが綺麗に擦れるように打っていきます」。最後に、ティを高くしてボールだけを打てば、レベルブローに。出球が安定しインパクトではボールがつかまった、手応えのある打感が得られるはずだ。
レベルに打つためのポイントは、インパクト付近の手元の位置にある。「ハンドファーストにしない、かと言って手元が解けるのもNG。アッパー軌道はシャフトのしなり戻りで作るので、レベルに振れればあとはクラブが仕事をします。インパクトでの手元の位置は、体の“真ん中あたり”が正解になります」。身長や腕の長さが違えば、正解の手元の位置は変わってくる。反復練習で自分のベストなインパクトを見つけることが欠かせないというわけだ。
ティショットが安定しない人の中には、「ティの高さが毎回違う人も少なくない」と南。入射角を安定させることで、自分にあったティの高さを知ることができ、岩井のような安定したドライバーショットに近づけるだろう。
■南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。