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スーパーショットも「人生で一番味気ない…」 無観客試合に選手たちが思うこと【記者の目】

スーパーショットも「人生で一番味気ない…」 無観客試合に選手たちが思うこと【記者の目】

所属 ALBA Net編集部
谷口 愛純 / Azumi Taniguchi

配信日時:2020年11月17日 15時00分

「プロゴルファーの称号を持っていても、何の役にもたたないじゃんって。規模は違いますが、震災の時と心境は同じ。世界中で苦しんでいる人がいるなかで、果たしてこのまま練習していていいのかと考えてしまう。ゴルフを通じてどんなことが人々に与えられるか、ゴルフを通して培ったなにかで、違う形でも人になにか与えられるのかとか。これを機にすごく考えさせられました」

プロゴルファーとしてのあり方に思いを巡らせながら臨んだ本大会は、8位タイ発進を決めたがトータル10オーバー・48位タイで終了。この先のレギュラー参戦が見えないだけに、かける思いは強かった。「優勝争いができなかったことが心残りです。やっぱりここに戻ってきたいという思いが強まりましたし、お客さんが戻ってきたときにどういうプレーができるかも考えました」。ファンに夢を与えられる立場と自負するからこそ、その場をなくした戸惑いと、自分のゴルフを通してなにかを届けたいという思いはより一層強まった。

会場で、ギャラリーの目の前でプレーを見せることが“本業”だった。今ではその場が失われ、どんなスーパーショットを繰り出しても、おしいバーディパットを外しても反応がない。谷口徹は2日目にホールインワンを達成したが、当然グリーンはシーンとしたまま…。「人生で一番味気ないホールインワンでした。静かでコースも広く感じるけど、しかたない。お客さんの声援で頑張れますし、モチベーションになりますよね」と、寂しさもひとしお。見せる相手がいない中での試合は、プロアスリートとしての意義を問われているようだった。

コロナ禍でなにができるか。チャリティ活動を主催し、YouTubeチャンネルなどを通して選手やツアーのPRに奔走する小田孔明は「誰かが始めないと次にいかない」と語る。「今までは協会がやってきたことを、選手たちがやっていく時代になった。香妻陣一朗もコロナに先駆けてYouTubeを始めたけど、そういう活動が大事。選手としての生活も大事にしつつ、できることをやっていければ」と語る。

この半年で、試合やオークションなどのチャリティ活動や、SNSを通しての情報発信がより一層増えてきた。本大会でも、チャリティオークションや選手たちからのメッセージ動画の配信を実施。また、会場に来られないファンに臨場感を味わってもらおうと、練習場を360度カメラで体感できるVR動画のLIVE配信も行った。

離れているファンとの距離を縮めるためになにができるか。選手や業界全体で模索する日々は続く。(文・谷口愛純)

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