続く3番パー3ではティショットをミスして、グリーン手前のクリークから水しぶきが上がったが、跳ねてピンのすぐ右横のカラーへ。4メートルのアプローチは惜しくも入らなかったが、ボギーでもおかしくないミスショットが、楽々パーになった。「あのホールは番手の間の距離で大きいクラブを少し抑えて緩んでしまった。あそこは跳ねるからOKだって、練習ラウンドでもチェックしていない」と笑う。

続けて、「あの2ホールがなかったら早々に優勝争いから脱落していただろうし、結局最後は1打差での優勝。いつもは悪い方向にしか行かないので、珍しく僕がついているなと。きょうはラッキーな面が非常に大きかった。3打か4打得した気分」とも。序盤で得た幸運を後半の逆転につなげた。

この優勝によって手に入れた「全英オープン」への切符には特別な思いもある。「全英オープンは狙っていました。セントアンドリュースということもありますし、ゴルフの試合を初めてテレビで観て、最初に出たいと思ったのが全英だったので、うれしいですね。緑ではなく荒野みたいな…すごく神秘的できれいだなと思って、コースに惹かれました。国内メジャータイトルというのもうれしいですけど、出場権を取れたことのほうがうれしさは大きいです」。

ツアー制度が始まった1973年以降、日本タイトルを獲得した一番身長が小さいチャンピオンとなった158センチの比嘉。この優勝によって全英オープンだけでなく、6月下旬のDP ワールドツアー（欧州男子）「BMWインターナショナル・オープン」と、 10月に日本で開催される米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」の出場権利も得た。「小さくてもできることを、観ている人に勇気を与えられたらうれしい」。小さな巨人が世界に打って出る！（文・下村耕平）