これが奏功したというわけだ。腰が張っていてもストロークしやすいという理由もあるが、「これまでライン取りが直線的すぎたので、もっとやわらかいタッチがでるようにスタンスを変えた」のだという。

また14ホール中4回しか振っていないが、ドライバーが好調だったことも好スコアの要因に挙げた。「ケガの功名じゃありませんが、6割ぐらいで振っているのがよかったんだと思います」。“今季初優勝も見えてきたが”という問いには「スタート前の目標は4日間プレーすることだったので、まずは頑張って予選を通ること」と残りの3日間はリキまず臨む。

スイングを乱すのが余計なリキミ。腰をかばって6割で振り、予選通過というツアー7勝の宮里らしからぬ目標設定でさらにリキみを抜く。スコアが伸びれば伸びるほど、リキみが生じてスイングを乱してしまうのがゴルフ。最終ホールをボギーで上がればベストスコア達成という場面で、それを意識したばかりに大叩きとなったなんてアマチュアの話はよく聞く。それはプロだって同じこと。いや、大きな賞金がかかっているだけに、メンタルへの影響は計り知れない。

腰をケアしてボールを打つのをガマンしていた時期に、家でふとパター練習をしてしまったことがあったという。そのとき、子どもたちから「パパ、ダメだよ。腰が痛いんだから」と怒られてしまったエピソードを宮里は思い出したように口にした。この日、宮里も思わずリキんでしまうような場面があったのだろう。そのときに思い出したのが、子どもたちの温かい言葉だったのではないだろうか。

爆弾は抱えているが、腰痛との戦い方も分かってきた。2日目も自然体でコースに向き合い、まだまだスコアを伸ばしてくるに違いない。（文・河合昌浩）