「不思議な感じですね」と師匠からのインタビューへの感想を口にしたが、もちろんその顔は笑顔でいっぱい。その佐伯に、田辺に対して最初に指導した内容を聞いてみると「考え方を教えました。技術はいいものをもっているけど、それを生かすも殺すも考え方次第」とプロとしての心得を伝授することから始めた。

他の門下生同様に田辺にもゴルフノートを書かせるが、これは自分のゴルフのクセなどに自分で気づいてほしいという思いから。「内容を見ると性格が表れるけど、真面目にキレイに書いていますよ」。師匠の意図を汲み取り、真剣に向き合っている。

「私もビックリしています」と、この日のラウンドを振り返った田辺に、最終日を迎えるうえで緊張感やプレッシャーについて聞くと「自分でも期待はしていないので、ありません。優勝争いが初めてなので、今後に生かしたい」とキッパリと答えた。この言葉からは自分のゴルフを続けることだけに集中する、という気持ちも感じられる。

ちなみ師匠に最終日をどういう気持ちで観戦するかを聞くと「鼻水、涙を流しながら見てると思います（笑）」という答えが返ってきた。師匠、そして地元の思いも背に、23歳は残り18ホールを戦っていく。（文・間宮輝憲）