すると10番から怒濤（どとう）の3連続バーディ。一気にトップを捉えると、14番でもバーディを決めた。「いちばん集中していました」という最終18番パー4では1メートルにつけてバーディ締め。結果的にこのバーディで勝利をつかみ取った。

「最終日にしっかり伸ばせる選手になりたいと思っていて、集中するというのは心がけています。車のエンジンをかけるように頭の中でギアを入れます。練習でも『ここから集中しよう』というように取り入れていますし、今日もうまくいきました」。口で言うのは簡単だが、西村にとって最終日の後半は、集中力をもっとも高める時間だ。

サンデーバックナインの女に変貌したのには理由がある。1年前、「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」最終日を首位で迎えながら、4つのボギーにバーディなし。惜敗でもなく完敗を喫した。「ターニングポイントになった試合です。弱い気持ちでは勝てないと分かりました。強い気持ちでやろうと、空回りをビビらずにやっていこうと決めたんです」。

その1カ月半後には大逆転の初優勝。そして公式戦制覇、さらには「2021年は年間複数回優勝が目標でした」と、これも今週達成した。「まだ10試合ほどあるし、メジャーも2試合あるので、成績を残したい」と気持ちはさらに前向きになりつつある。

「サンデーバックナインは本当に大事」と何度も繰り返す西村。3勝すべてが逆転優勝だが、「これで自信になりました」と、次なる目標は逃げ切り優勝だ。「トップで最終日を迎えるのは挑戦でもあるし、経験してみたい」。

ギアを上げるタイミングと、上がったギアに対応する技術力とマインド。強さを増す西村が、賞金ランキングで上を走る稲見萌寧、小祝さくらを追撃する筆頭格として存在感を上げていく。（文・高桑均）