技術だけでなく体力も本当に強い。初のフルシーズンにも関わらず息切れもなく、大きなけがもなく1年半駆け抜けました。4日間大会でも全く問題ない。かなりトレーニングしていると聞きましたが、その効果は飛距離だけでなく、試合をこなすスタミナにも大きくいい影響を及ぼしていると思います。毎試合出場を続けて上位に入るほどポイントがもらえる、さらに4日間大会だとこのシステムでは、体の強さは強い味方となってくれるでしょう。

海外志向が強いのもいいですね。メルセデス・ランキングは賞金ランキングと異なり海外メジャーもポイントに入るので、出場して上位に入ることができれば大きなポイントを稼げます。あの高くて飛距離の出るフェードボールは海外向き。世界ランキング的（現在39位）にもこのままならいくつかの出場権は得られると思うので非常に楽しみです。

なぜ、そんな選手が1勝もできなかったのか。ツキがなかったというのが一番ですが、重箱の隅を突くとすればパッティングでしょうか。ほとんどのスタッツでトップ30に入っている西郷さんが唯一59位なのが1ラウンド当たりの平均パット数（30.1070）です。ピンをさしているけど一筋入らなくて…。そんなシーンを何度か見ました。そして、流れを引き寄せきれなかったように思えます。

ですが、西郷さんの一番の強さは何と言ってもメンタルです。そして頭もキレる。平均パットに関してもこのオフでしっかりと修正してきているでしょう。昨シーズン勝てなかった悔しさは、きっとオフの練習の質を高めていると思います。さらにパワーアップして今年は一気に最多勝でMVP…ということも大いにあると思いますね。

【20-21年メルセデス・ランキングトップ10】
1位：古江彩佳 3,845.16pt
2位：稲見萌寧 3,841.60pt
3位：小祝さくら 3,155.35pt
4位：西村優菜 2,813.06pt
5位：西郷真央 2,563.47pt
6位：笹生優花 2,297.99pt
7位：勝みなみ 2,186.42pt
8位：高橋彩華 2,085.65pt
9位：上田桃子 2,074.64pt
10位：原英莉花 2,010.61pt

解説・大西翔太（おおにし・しょうた）/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす！！ 飛距離アップの正解』が発売中。