ただ、今大会に限っては、昨年の稲見をほうふつとさせるゴルフを見せたのは間違いない。圧巻だったのは16番パー3での第2打だ。グリーン手前のバンカーに入れたのだが、目玉になっていた。ピンまで約25ヤードある。一歩間違えれば、バンカーからもう一度打たなければいけないライだ。ダブルボギーだけは打たないようにと、52度のウェッジを少しだけ開いて、上からドーンとクラブヘッドを下ろす。砂と一緒に舞い上がったボールはピン手前3メートルに止まる。上りのスライスラインだったが、それをしっかりとねじ込み、パーセーブして見せた。
さらに、続く17番パー4では2打目をグリーン手前に刻んだ。前日ではグリーン奥の池に落としてダブルボギーを叩いており、同じ失敗を繰り返したくなかった。「15番のティイングエリアに立ったとき、他の組の選手が2人池に入れていたのを目撃しましたし、せっかく16番で良いパーセーブをしたので刻むことにしました」。
結果的にボギーとなったが、もしここでダブルボギーを叩いていれば、2位とは1打差。一気に勝負は分からなくなっていただけに、最悪を避ける選択は正しかった。スイングの不安もなくなり、したたかな駆け引きができるようになったともいえるだろう。
今回の優勝でメルセデス・ランキング2位に浮上してきた稲見。「今は順位よりも、もう1回勝つことに集中したいですね」。国内ツアーに集中するために「全米女子オープン」にはエントリーしなかったが、それだけの価値はあったようだ。(文・山西英希)
さらに、続く17番パー4では2打目をグリーン手前に刻んだ。前日ではグリーン奥の池に落としてダブルボギーを叩いており、同じ失敗を繰り返したくなかった。「15番のティイングエリアに立ったとき、他の組の選手が2人池に入れていたのを目撃しましたし、せっかく16番で良いパーセーブをしたので刻むことにしました」。
結果的にボギーとなったが、もしここでダブルボギーを叩いていれば、2位とは1打差。一気に勝負は分からなくなっていただけに、最悪を避ける選択は正しかった。スイングの不安もなくなり、したたかな駆け引きができるようになったともいえるだろう。
今回の優勝でメルセデス・ランキング2位に浮上してきた稲見。「今は順位よりも、もう1回勝つことに集中したいですね」。国内ツアーに集中するために「全米女子オープン」にはエントリーしなかったが、それだけの価値はあったようだ。(文・山西英希)