＜伊藤園レディス　最終日◇13日◇グレートアイランド倶楽部（千葉県）◇6741ヤード・パー72＞

山下美夢有が3メートルのウイニングパットを沈めて年間女王に輝いた瞬間を、父・勝臣さん、母・有貴さんはしっかりと見守った。コーチも務める父は、「（最後のパーパットは）あれはたまたま。何とか入ってくれた。もうちょっと打たないと」とおどけながら最後のシーンを振り返る。だが、2019年のプロ転向からわずか2シーズンで大仕事を成し遂げた娘について「女王を獲れるなんて思ってなかった。ビックリ。できすぎです」という言い方で、喜びを表現した。

山下一家、大集合【写真】

5歳から始まった娘のゴルフ人生を、ずっと近くで見守ってきた二人。ラウンド後には父は柔らかな表情で、母は大粒の涙を流しながらまな娘に祝福の言葉を贈る。

「負けず嫌い」だという娘を、日本女子ゴルフのトップに育てあげた。山下は優勝会見の席で、家族の話題に触れられるとそれまでの冷静な受け答えから一転、感極まって言葉を詰まらせた。「いい時も、悪い時も変わらずずっとサポートしてくれた。弟と妹がいるけど…、私中心で動いてくれて迷惑をかける部分もあった。そのなかでもサポートしてくれて、強くなれたなと思います」。新女王の胸は感謝の思いでいっぱいだ。

この日、山下が着用した勝負服を選んだのは有貴さん。「持ってきているのが少なくて、あれしか着るのがなかった」と笑う。ただ赤と白の組み合わせは「紅白になった」と、晴れ舞台にふさわしいものになった。