スタートの1番はともにバーディチャンスを迎えた。比嘉は惜しくもチャンスを逃したが、成田がパットに入ろうとしたときだった。米国チームのクリスティ・カーが、あろうことか成田の目の前、しかも至近距離に立ち、獲物を威嚇するように見つめていた。選手のプレー時に視界に入らないのは、世界共通の“暗黙のルール”。仲間内のゴルフならまだしも、世界大会でのこの行動に驚いた。
怖い選手。ほかの選手からも恐れられている。そんなカーの存在は知っていたが、これは明らかにやり過ぎだ。その後も日本選手の視界に入る場所に立ち、腕を組んで仁王立ちを繰り返したカー。ペアを組むレクシー・トンプソンは、グリーン上ではなるべくカーと離れた場所から戦況を見つめたが、カーとはあえて距離を取っているようにも見えた。それが元々当たり前なのだが…。
ご存じの方も多いと思うが、ゴルフのルールブックの最初のページにはマナーの記載がある。マナー違反はルール上、罰せられるものではないが、だからこそ根底にあるマナーという最も大事な精神を忘れることがないように記されている。紳士淑女のスポーツなどといわれるが、そういうことではない。互いに気持ちよくプレーするのは当たり前のこと。そんなことが、できないトッププロがいることが信じられなかった。
いくら国別対抗戦で気持ちが高ぶっているとはいえ、やっていいことと悪いことがある。むしろ国別対抗戦だからこそ、恥じるべき行動は控えねばいけないと思う。ライダーカップを見ていても、互いのスーパーショットには対戦相手だろうと賛辞を惜しまない、そんなスポーツマンシップが随所に見られる。ガチンコ勝負の中でもマナーという暗黙ルールは存在する。カーの行動はゴルフの精神を犯していると思えた。
チャリティにも熱心に取り組むことで知られるカー。来週41歳の誕生日を迎える大ベテランながら、いまだ米ツアーで勝利を挙げ続けている。海外女子メジャーでも2勝、米ツアーの通算勝利数は20を誇り、紛れもなく米国を代表するスター選手だ。若手に対して影響力も大きいスターが取った行動は、チームメイトや米ファンにどう映るのか。
そんな暗黙の妨害行為にもめげず、成田・比嘉ペアは前半3アップまでリードを奪ったが、その後はレクシーの活躍で1ダウンまで逆転された。12番のグリーン上で日没サスペンデッドとなってしまったが、まだまだ日本チームにも勝機はある。国の威信と自らの誇りを懸け、日本ツアー代表として出場している成田と比嘉には、ぜひとも一矢報いてほしいと願う。(文・高桑均)
怖い選手。ほかの選手からも恐れられている。そんなカーの存在は知っていたが、これは明らかにやり過ぎだ。その後も日本選手の視界に入る場所に立ち、腕を組んで仁王立ちを繰り返したカー。ペアを組むレクシー・トンプソンは、グリーン上ではなるべくカーと離れた場所から戦況を見つめたが、カーとはあえて距離を取っているようにも見えた。それが元々当たり前なのだが…。
ご存じの方も多いと思うが、ゴルフのルールブックの最初のページにはマナーの記載がある。マナー違反はルール上、罰せられるものではないが、だからこそ根底にあるマナーという最も大事な精神を忘れることがないように記されている。紳士淑女のスポーツなどといわれるが、そういうことではない。互いに気持ちよくプレーするのは当たり前のこと。そんなことが、できないトッププロがいることが信じられなかった。
いくら国別対抗戦で気持ちが高ぶっているとはいえ、やっていいことと悪いことがある。むしろ国別対抗戦だからこそ、恥じるべき行動は控えねばいけないと思う。ライダーカップを見ていても、互いのスーパーショットには対戦相手だろうと賛辞を惜しまない、そんなスポーツマンシップが随所に見られる。ガチンコ勝負の中でもマナーという暗黙ルールは存在する。カーの行動はゴルフの精神を犯していると思えた。
チャリティにも熱心に取り組むことで知られるカー。来週41歳の誕生日を迎える大ベテランながら、いまだ米ツアーで勝利を挙げ続けている。海外女子メジャーでも2勝、米ツアーの通算勝利数は20を誇り、紛れもなく米国を代表するスター選手だ。若手に対して影響力も大きいスターが取った行動は、チームメイトや米ファンにどう映るのか。
そんな暗黙の妨害行為にもめげず、成田・比嘉ペアは前半3アップまでリードを奪ったが、その後はレクシーの活躍で1ダウンまで逆転された。12番のグリーン上で日没サスペンデッドとなってしまったが、まだまだ日本チームにも勝機はある。国の威信と自らの誇りを懸け、日本ツアー代表として出場している成田と比嘉には、ぜひとも一矢報いてほしいと願う。(文・高桑均)