畑岡には、そういう生真面目さや謙虚さがあり、それは彼女の人間としての大きな魅力だと私は思う。
その昔、フィル・ミケルソンがメジャーでなかなか勝てなかったころ、米メディアは「優しすぎる人はビッグ大会では勝てない」と何度も書いた。近年、このフレーズは、やはりメジャーでなかなか勝てないリッキー・ファウラーに向けられている。弱肉強食の勝負の世界では、このフレーズが当てはまる面は、確かにある。
しかし、ミケルソンはのちにメジャー6勝を挙げることができた。そして、ゴルフの世界には、もう1つ、「ナイスガイは勝つ」という素敵なフレーズもある。私はこのフレーズこそが、ナイスな人柄の畑岡に、いつか必ず当てはまるのだと信じている。
五輪ゴルフの最終日、畑岡はエースキャディ交替のアクシデントがあったなか、それでも必死の猛追を心に誓って戦ったが、メダルには届かず、9位タイに終わった。「悔しい」と言った彼女の目には「無念」の二文字が、はっきりと見て取れた。
だが、その悔しさや無念さをすぐさま心の奥底にしまい込み、銀メダルを確定させて満面の笑みで上がってきた稲見を温かい笑顔で讃えた畑岡を見たとき、涙が出そうになった。そして、「奈紗ちゃん、大丈夫。ナイスガイは、いつか必ず勝つのだから」と、心の中で何度も唱えた。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
その昔、フィル・ミケルソンがメジャーでなかなか勝てなかったころ、米メディアは「優しすぎる人はビッグ大会では勝てない」と何度も書いた。近年、このフレーズは、やはりメジャーでなかなか勝てないリッキー・ファウラーに向けられている。弱肉強食の勝負の世界では、このフレーズが当てはまる面は、確かにある。
しかし、ミケルソンはのちにメジャー6勝を挙げることができた。そして、ゴルフの世界には、もう1つ、「ナイスガイは勝つ」という素敵なフレーズもある。私はこのフレーズこそが、ナイスな人柄の畑岡に、いつか必ず当てはまるのだと信じている。
五輪ゴルフの最終日、畑岡はエースキャディ交替のアクシデントがあったなか、それでも必死の猛追を心に誓って戦ったが、メダルには届かず、9位タイに終わった。「悔しい」と言った彼女の目には「無念」の二文字が、はっきりと見て取れた。
だが、その悔しさや無念さをすぐさま心の奥底にしまい込み、銀メダルを確定させて満面の笑みで上がってきた稲見を温かい笑顔で讃えた畑岡を見たとき、涙が出そうになった。そして、「奈紗ちゃん、大丈夫。ナイスガイは、いつか必ず勝つのだから」と、心の中で何度も唱えた。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)