つまり心筋梗塞の場合、それまで普通に生活していた人が突然に意識を失いそのまま死んでいくことも多いのだ。山崎の場合は意識はあったものの、状況的にはその後数時間で死んでしまう確率は相当高かったのである。つまり、あまりに突然に『死』が現実的なこととなり、状況からして彼はそれを受け容れざるを得なかったということなのだろう。
一般に『死を受け容れる』というのは、石原さんのようにガンなどを発症して余命いくばくかを宣告された人が『死と向き合う』苦しみを経た後に到達する、恬淡として死を迎える境地をさすことが多い。しかし、このときの山崎は『死と向き合う』時間さえ殆どないままに手術を受けることになったのだ。だから彼が『受け容れた』のは、死を覚悟することであり、死そのものではなかったのかもしれない。
厚労省の2020年人口動態統計による日本人の死因の構成割合では、1位はガンなどの悪性新生物(27.6%)、2位が心疾患(15.0%)、3位が老衰(9.6%)、4位が脳血管疾患(7.5%)となっている。
山崎が患った心筋梗塞は2位の心疾患に含まれる。決して低い確率ではないのだ。彼は、「今まで心筋梗塞の兆候は全然なかったんです。発症の2カ月前の検査でも血液から何からすべてクリアして健康そのものだったんです」という。しかし彼は、肝心のコレステロール値が高かったことを見逃していた。
突然死は、一気に日常を奪う。このことを胸に置き、日常の検査を怠りなく。(取材・文/古屋雅章)
一般に『死を受け容れる』というのは、石原さんのようにガンなどを発症して余命いくばくかを宣告された人が『死と向き合う』苦しみを経た後に到達する、恬淡として死を迎える境地をさすことが多い。しかし、このときの山崎は『死と向き合う』時間さえ殆どないままに手術を受けることになったのだ。だから彼が『受け容れた』のは、死を覚悟することであり、死そのものではなかったのかもしれない。
厚労省の2020年人口動態統計による日本人の死因の構成割合では、1位はガンなどの悪性新生物(27.6%)、2位が心疾患(15.0%)、3位が老衰(9.6%)、4位が脳血管疾患(7.5%)となっている。
山崎が患った心筋梗塞は2位の心疾患に含まれる。決して低い確率ではないのだ。彼は、「今まで心筋梗塞の兆候は全然なかったんです。発症の2カ月前の検査でも血液から何からすべてクリアして健康そのものだったんです」という。しかし彼は、肝心のコレステロール値が高かったことを見逃していた。
突然死は、一気に日常を奪う。このことを胸に置き、日常の検査を怠りなく。(取材・文/古屋雅章)