とはいえ、彼はその直後にプレーヤーズ選手権を制し、不名誉な称号を実力で払拭。どんなことも強気で跳ね返してきた。

だが、今年の春は、ゴルフ界のレジェンド、ニック・ファルドから「マスターズに出られなくても、CM撮影ができるからいい」などと揶揄されたファウラーは、もはやそれを実力で跳ね返すことができなかった。

肉体面のトラブルは回復しても余波が消えるまでには時間がかかり、精神面のトラブルの余波は、もっと残存期間が長くなりがちだ。その両方が重なるダブルパンチは、どんな選手にとってもダメージは果てしない。

「スイングは良くなってきた。パットもいい感じになってきた」

今大会の初日には、そう語っていたファウラーだが、途中でガラガラ崩れる現象は、心身が受けたダメージの余波が今なお続いているせいではないだろうか。

ファンを惹きつけるスター性、社会貢献に積極的な彼のチャリティー精神、心優しい人柄、どれをとってもファウラーは素晴らしい。そんな彼を追い詰める原因の一部が、周囲のジェラシーにあることは、悲しいかな、それがこの世の常であり、アスリートの世界の常でもある。