だが、1つだけ、明らかに感じられるのは、ノーマンの「すごい執念」だ。

1990年代半ばにノーマンやフレッド・カプルス、セベ・バレステロスらが、いわゆる「ワールドツアー構想」を提唱し始めたとき、米ツアー会場で開かれた会見には、凍りつくような冷たい空気が張り詰めていた。

米国男子ツアー側はもちろんのこと、米メディアの大半がノーマンらの「敵」側に立っていたため、会見ではノーマンらが詰問される格好になり、凍てつく空気の中で米メディアの強硬な質問がビシビシとノーマンらに浴びせられていた。

「メジャー・チャンプだけのツアー構想は、メジャー・チャンプであるキミたちの思い上がりだ。エゴにすぎない。自分たちさえ良ければ、それでいいという傲慢な考えだ」

そんな米メディアの論調がスポンサー各社や一般のゴルフファンに広まっていき、ノーマンらの構想は立ち消えになった。

あれから今日までのほぼ30年間、新ツアー構想を捨てず、焼き直し、生まれ変わらせ、実現させようとしてきたノーマンの執念は「恐るべし」だ。自分たちのアイディアをつぶらされた恨みを晴らすことが、その後の彼のモチベーションになっていたのかどうかは本人のみの知るところだが、何にせよ、想いを実現させるべく動き続けてきた行動力と持続力と執念は、途轍もなくすごい。