午前11時43分には地元警察が会見。「タイガーは意識があり話すことがあり命に別状はないこと、足に大きな損傷を負い複雑骨折と思われること。搬送された近くのハーバーUCLAメディカルセンターで現在緊急手術が行われている」ことが伝えられた。

事故は目撃した近隣住人から通報があり救急隊員がかけつけた。現場は太平洋を望む風光明媚は丘陵地帯だが、カーブが多いエリアとして知られていた。運転していたのは直線だが緩やかな下り坂、制限速度は時速45マイル（72キロ）だが、スピードが出る場所としても知られていた。タイガーの車のスピードは確認されていないが、コントロールを失い最初に中央分離帯にぶつかり横転して崖下に落ちたと見られた。またタイガーはシートベルトを着用していたことで命が救われたこと、アルコールや薬物などは検出されていないことも合わせて警察発表された。

同週に開催されていた「WGC-ワークデイ・アット・コッセンション」（米フロリダ州）でもこの衝撃ニュースに選手たちは騒然。仲間やツアー関係者からは、次々に驚きと祈りのコメントが送られた。「気持ち悪くて吐きそうだ。今ではとても近い友人の一人。無事でいてほしいし、子供たちがとても心配だ」と近隣に暮らすジャスティン・トーマス（米国）。スティーブ・ストリッカー（米国）は、「ショックで言葉がない。とにかく無事でいてほしい」と声を震わせた。

この時点ではタイガーが生きていることにゴルフ界にも大きく安堵の空気が流れた。翌日にはタイガー・ウッズ・ファンデーションが「緊急手術はとてもうまくいった。センターの医師やスタッフ、ロサンゼルス郡の消防局の素晴らしい対応にとても感謝している」とコメントを発表。ところが、ここからタイガーの長い戦いが再び始まることになる。（文・武川玲子＝米国在住）