首位から3打差の5位で最終日を迎えたゲーリー・ウッドランドは、前半でスコアを1つ落としながらもよく耐え、16番（パー5）は見事な2オンでイーグル奪取。単独首位へ躍り出た。しかし、逆転優勝のチャンスにつけた途端、17番ではダブルボギー、18番でもボギーを喫して脱落した。

首位から1打差の3位からスタートしたビクトル・ホブランは出入りの激しいゴルフながらも優勝争いに絡み続け、16番のバーディーで首位タイへ。しかし、直後の17番でグリーン右のバンカーにつかまり、痛恨のボギーを喫した。ピン右のショートサイドを果敢に攻めた18番の第2打は、池に落ちそうでぎりぎり落ちず、難を逃れた。だが、5メートルのバーディパットがカップに沈まなかった瞬間、優勝の可能性はなくなった。

PGAツアーの一流選手たちは、みなピンチをチャンスに変えてくる。しかし、チャンスのあとには必ず試練に襲われ、そこで落とせば敗北、そこで落とさず、生き残ることができれば、それこそが勝利へのカギとなる。

首位と2打差の4位から最終日をスタートした25歳のスコッティ・シェフラーは、前半で落とした1打を後半12番で取り戻すと、15番では7メートルのパーパットをスルリと沈め、ラフからラフへと渡り歩いた16番は寄せワンで見事にパーセーブ。17番は危なげなくパーで収めた。そして18番は左ラフからの難しいアングルながらグリーンを捉え、25メートルのバーディパットを20センチへ見事に寄せて、パーで締め括った。よく乗せて、よく寄せて、よく拾ったパーだった。

優勝を競い合っていた誰もがチャンスのあとに試練に襲われ、スコアを落としたなかで、シェフラーだけがチャンスのあとに1つもスコアを落とさなかった。シェフラーの勝利は、まさしく「パーの勝利」だった。

2020年のルーキーイヤーをいきなりフェデックスカップ5位で終え、「大型新人」と期待されながら、なかなか勝利が得られなかったシェフラー。だが今年2月の「WMフェニックス・オープン」でついに初優勝を飾ると、わずか3週間後の今大会で早くも2勝目を挙げ、松山英樹を抜いてフェデックスカップ1位に躍り出た。