故郷ユタ州の人々から温かい支援と激励を受け、なんとかPGAツアーにたどり着いたのは15年のこと。翌年、「プエルトリコ・オープン」で早々に初優勝を挙げたものの、昨年の「ノーザントラスト」で2勝目を挙げるまでには、さらに5年の歳月を要した。

せっかく優勝争いに絡んでも最終日に実力を発揮できないことが何度も続き、どれほど悔し涙を流したことか。しかし、昨秋に2勝目を挙げたことが自信になり、さらに今季は5月ごろからのトップ5入りが励みになり、ショットの精度を高め、小技のフィーリングを磨き、徐々に自信を膨らませていった。先週の3勝目で得た自信を抱いて今週の大会を迎え、最終日は9番できわどいパーパットを沈めた自信が後半の快走につながった。

時間はかかったが、辛抱強く一歩一歩、前進するのがフィナウ流。今年の春ごろは159位だったフェデックスカップ・ランキングも徐々に、しかし着実にアップさせ、この優勝で7位へ上昇。

「今、僕はキャリアで一番いいショット、パットを打てている。こんな日が来ていることが信じられない」

夢見心地でそう語ったフィナウだが、一方で「次なるゴールは、プレーオフ・シリーズで優勝して、フェデックスカップ年間王者になることだ」と現実的な目標を掲げた。

ドリーム・カム・トゥルーの物語を地で行くフィナウの歩みは、まさに次世代の子どもたちへの希望と励みになる。そういうストーリーが生まれ出ることこそが、歴史あるPGAツアーの最大の魅力だ。